と主張する。与党には触れず、
「大阪だけではうまくいかないからと、維新は東京にも来ている。私は何をすべきか、待ち受けるほうがいいのか。少なくとも相手の本拠地に乗り込むべきだと思って大阪に来ているのです」
と続けた。
菅元首相は、党から「大阪特命担当」との肩書を受け、大阪で徹底的に維新批判を展開している。
なぜこれほどまでに「維新憎し」の選挙戦を繰り広げるのか……。
その要因としては、参院選序盤の各社の世論調査で、比例区の予想議席が、維新より立憲が1~2議席少なめに出ていることにある。立憲は、旧民主党時代からの「野党第1党」の座を失うかもしれない、ぎりぎりの状況にあるのだ。
立憲の幹部が話す。
「自民党は今回も、選挙区、比例区と、知名度が高いタレントなどの候補者が複数います。維新も歌手、元スポーツ選手たちを擁立している。だけど、党勢が低調なうちは知名度のある候補者を比例区に立てることができなかった。一番の目玉が辻元氏なのです」
辻元氏は民主党政権時代、内閣総理大臣補佐官や国土交通副大臣などの要職を歴任し、国会での舌鋒(ぜっぽう)鋭い論戦でも全国的に知られている。衆院議員を7期務めたベテランだが、昨年10月の衆院選では大阪10区から出馬して維新の新人に敗北し、比例復活もならなかった。
それでも、立憲の中では、辻元氏の個人票の得票が最も多いと予測する世論調査もあるなどの理由で、辻元氏個人の知名度に頼らざるを得ないという党内事情がある。
「辻元氏が大量得票できるかどうかが、維新と野党第1党を争う中で重要なのです。菅元首相にお願いして大阪に張りついてもらっているのも、そういう背景があります。自民党にはとうてい追いつかないので、維新より上に行き、野党第1党をなんとか死守したい」
前出の立憲幹部が苦しい胸の内をそう明かす。
辻元氏も街頭で、
「2枚目の投票用紙には大阪だけでなく、全国の方に辻元清美と書いてもらえる」
と訴える。