昨年の衆院選で、大きく躍進した維新だが、博士氏の「劇場化」の動きには不安もあるようだ。

 東京で選挙活動する博士氏は、維新批判だけではなく「芸人流」のパフォーマンスも忘れていない。本人は言う。「政治家の活動は芸人の延長だと思っています。芸人が『あるあるネタ』を作るのと一緒で、演説もまた、演芸の一つです」

 漫才コンビ「浅草キッド」のツッコミ役で、ルポライターとして文筆活動もするなど、多彩な才能を持つ。

【写真】2016年に週刊朝日のインタビューを受けた時の浅草キッド
【写真】2016年に週刊朝日のインタビューを受けた時の浅草キッド

 公示日前に渋谷・ハチ公前で行われたゲリラ街宣では登場時、「迎え手(拍手)が少ないので帰らせていただきます」と引き返しかける「フリ」で会場を盛り上げた。その2週間後、同じハチ公前で行われたれいわ新選組のイベントでは、今回の出馬を「鬼退治」になぞらえ、桃の絵が入ったハチマキにピンクのポロシャツ姿で登場。壇上に姿を見せるや「待ってました!」と掛け声がかかり、演説の合間には写真撮影を求める若者が列をなした。党代表の山本氏にも劣らない人気ぶりがうかがえる。

 演説を聴きに来た作家の樋口毅宏さんは、「博士は笑いと知性の両方を兼ね備えた稀有(けう)な人。政治家にならないのはもったいないと以前から思っていた。訴えられたのは、逆にいいタイミングだったのではないか」と話した。

 7月7日、大阪の京橋駅前に博士氏の姿があった。直撃すると、こんな答えが返ってきた。

「最終日まで大阪で反維新を訴えます。反維新で突っ走っていきたい。有権者からは抜群の反応がきています。大阪で松井さん、吉村(洋文)さんとどこかで遭遇しないですかね。ガチンコで対決したいです」

 法廷と選挙で展開される、維新VS博士氏の対決。そしてお笑い。いずれにしても、まずは選挙結果に注目だ。

(AERAdot.編集部・今西憲之、週刊朝日・松岡瑛理)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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