「裁判を可視化する、国会を可視化する、政治を可視化する。NHKは……ぶっ壊さない!」。参院選の政見放送でこう訴えたのは、れいわ新選組から比例区で出馬した水道橋博士氏。出馬のきっかけは、訴訟だった。
【写真】2016年に週刊朝日のインタビューを受けた時の浅草キッド
日本維新の会の松井一郎代表の過去を解説したネット上の動画を、博士氏がSNS上で紹介したところ、名誉毀損(きそん)だとして本人から訴えられた。5月30日に第1回の口頭弁論が大阪地裁で開かれている。
裁判では、動画の作成者は訴えられず、博士氏だけが被告になっている。
「自分が訴えられた経験もなく、心臓がパクパクしている。松井氏は勝ち負けではなく、相手を黙らせる、経済的にダメージを与える、そういう訴訟ではないか。よく裁判では、係争中なのでコメントを控えるとありますが、それはやりません、ブラックボックスの裁判を劇場化する」
博士氏はそう話し、松井氏の行為を威圧が目的のスラップ訴訟だと批判。権力の乱用を防ぐために反スラップ訴訟の法制化を目指すと訴えている。
「大阪で演説すれば、松井、維新批判をやります」と話していた博士氏。選挙戦ではすぐに大阪に行き、れいわの候補者の街頭演説に応援で入り、宣言通り維新を批判した。
こうした動きに維新の国会議員は、
「大阪都構想の再来にならなければいいのですが」
と危惧する。2020年11月、維新が実現を目指した「大阪都構想」の住民投票があり、僅差(きんさ)で反対が上回り、現状維持となった。その際、反対を掲げて徹底的に大阪で訴えたのがれいわ新選組の山本太郎代表だった。
山本氏が行く先々で、多くの聴衆が足を止め、反対の演説に聴き入った。前出の維新の国会議員がこう嘆く。
「山本氏の反大阪都構想の運動で5千票、1万票が賛成から反対にもっていかれたと、多くの維新メンバーはそう認識しています。山本氏は東京選挙区だけど、党首でもあり、そこに水道橋博士が反維新で大阪に何度も入られ無党派層の票をもっていかれることになると、比例区の票にも影響しかねません。維新はれいわ新選組と同様に、無党派層頼りですからね。松井氏も参院選が終わってから、裁判をすればよかったのに」