6月末、東京メトロは地下鉄車内での無料Wi-Fiサービス「Metro_Free_Wi-Fi」の提供を終了した。東京都営バス、東武鉄道の一部車両でも同様の動きがある。政府は無料の公共Wi-Fiサービスを社会インフラと位置づけ、東京五輪開催に向けて整備を推し進めてきた。ところが、五輪終了後、その動きが後退しているように感じられる。先日発生したKDDIの通信障害のような事態に陥っても、公共Wi-Fiはバックアップ回線として使えるメリットもある。いま、なぜ公共交通機関で無料Wi-Fiサービスの終了が相次いでいるのか。
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地下鉄車内での「Metro_Free_Wi-Fi」(以下、MFWF)を終了した理由を東京メトロに尋ねると、次のような説明が返ってきた。
「終了の主な理由は、このサービスを提供してきた『エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム(NTTBP)』との契約期間が満了したためです。車内の無料Wi-Fiについてはもともと2種類あり、『TRAVEL JAPAN Wi-Fi』は引き続き使えますので、MFWFはこれを機に終了することにしました」
しかし、MFWFは日本在住者も使えるのに対して、TRAVEL JAPAN Wi-Fiは訪日外国人専用なので、前者のほうが社会インフラとしての役割は明らかに高い。さらに、NTTBPが提供するアプリを使えば、都営地下鉄に乗り換えてもログイン不要で利用できるため、東京メトロと都営地下鉄の路線の違いがよく分からない外国人旅行者に好評だった。
注意が必要なのは、駅構内におけるMFWFのサービスは引き続き提供される。ただ、電車が発車するたびに接続が切れてしまう、というわけだ。
「利用のしやすさという点では、大変ご不便をおかけして申しわけありません」(東京メトロ)
担当者によると、契約期間満了のほかにも理由があるという。