外山さんは子どものころから選挙のたびに「この候補を推しますので、みなさんよろしくお願いします」と、旧統一教会が自民党の候補を後押しするのを間近で見てきた。

「それは今でもまったく変わりません。教会から自民党の候補に投票を促すメールが親に送られてきていますから。教会が街頭演説の動員をかけたりもしています」

 教団広報部に自民党を支援している実態があるのかと問うとこう回答した。

「(教会からメールが送られてくるとは)聞いたことはない。宗教法人として組織的にある特定の政党や候補者を応援しているということはありません」

 なぜ、旧統一教会は自民党を支援するのか? 外山さんによると、両者は共鳴するところがあるのだという。

「もちろん岸信介さんと文鮮明との関係もありましたけれど、やっぱりイデオロギーが近いからでしょう。反共、憲法改正、あとは同性婚反対、夫婦別姓反対とか。そういうところで昔から共鳴するところが多く、双方にメリットがあるのだと思います。うちの父親は『勝共連合』の活動にも打ち込んでいましたね」

 国際勝共連合(通称、勝共連合)は反共産主義を掲げる政治団体で1968年に文鮮明が設立した。日本が共産陣営と激しく対立した冷戦時代、勝共連合と自民党は協力関係を築いた。

「父親は共産党の集会に潜り込んでヤジを飛ばしたり、街頭でよく演説をしていました。もちろん自民党大好きで、安倍晋三さんのことも『あんなにすばらしい総理大臣はいない』と言っていました」

■安直なバッシングで終わってほしくない

 外山さんに勝共連合と旧統一教会のつながりを尋ねると、「実態として同じ団体だと思っていました」と答える。

 安倍元首相がビデオメッセージを送ったNGO「天宙平和連合」についても「実態として旧統一教会と同じ組織です」と断言する。あくまでも「友好団体」という言い方にこだわる教団側とは異なる。

「事件が起きて以降、統一教会と自民党の関係について指摘すると、それを陰謀論のように語る人がいますが、私たちからすると当たり前すぎる事実なのに、それを知らない人が多いことの方が驚きです。ちなみに今回の事件について、教会は『安倍さんはサタン(旧統一教会の信者ではない人たちの総称)に連れて行かれた』と信者に説明しているみたいです(教団広報は「聞いたことはない」と否定)」

 霊感商法が社会問題となって以降も、統一教会は名称を変えて活動してきた。だが、実質的には教義も献金のシステムも大きくは変わっていない、と外山さんは話す。

暮らしとモノ班 for promotion
大谷翔平選手の好感度の高さに企業もメロメロ!どんな企業と契約している?
次のページ
「自分とは関係ない」と思うのは危険