安倍晋三元首相を銃撃して逮捕された山上徹也容疑者(41)。母親が入信する「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」に「人生をめちゃくちゃにされた」と激しい恨みを募らせ、同団体と安倍氏の関係を知って逆恨みしたことが動機の一端とみられる。AERAdot.では両親が統一教会の信者という家庭で育った「2世」に取材。「前編」では教団の高額献金システムや2世がいかに精神的に追い詰められていくのかを聞いた。「後編」では、教団がどのように自民党との関わりを持ち、信者たちがいかに巻き込まれているのかを取材した。
* * *
熱心な旧統一教会信者の両親のもとに生まれ、周囲から「祝福2世」「神の子」と呼ばれて育った外山道子さん(30代後半=仮名)。しかし、成長するにつれて、教会への疑問が膨らんでいった。
「小学生のころ、霊感商法で教団がバッシングされたときは、社会が根も葉もないこと言っていると思っていました。でも、中学、高校生になっていろいろな人の話を聞いていくうちに『あれ、やっぱり教会がおかしいのかな』と思うことが増えてきた。信仰を捨てたのは大学生のころです」
それでも、子どものころから植え付けられた教団の価値観は外山さんに大きな影響を与え、「教会の外」で人間関係を築くのには苦労した。両親が教団に高額献金を続けたことで、経済的に困窮した時期もあった。そうした「2世」の苦しみを経験してきただけに、教団に対する山上容疑者の思いには共感できる部分もあるという(詳細は「前編」を参照)。
■自民党とはずぶずぶの関係
一方、山上容疑者が安倍晋三元首相を狙ったことについては「よくわからない」と言う。
「本当は教団のトップを狙おうとしたけれど難しいから、もうやけくそだったんじゃないか」と推察したうえで、こう続ける。
「ただ、統一教会と自民党が深くつながっている、というのは教会にいれば公然の事実です。印象としては、ずぶずぶの関係ですよ」