「事件の後は、また統一教会がメディアでよく取り上げられるようになりましたが、安直なバッシングには違う危険も感じています。『やっぱりカルトは怖いよね』『ああいう人たちとは関わらないようにしよう』ということだけで片付けられてしまうと、統一教会の構造的な問題は何も解決しません。単なるバッシングで終わってしまうと、かたくなに教義に閉じこもる熱狂的な信者を増やしてしまうことにもなりかねません」
外山さんはこの問題が「自分とは関係ない」と切り離され、見過ごされてしまっている状況に危機感を抱いている。
「『あんなカルトに入っているやつは頭がおかしい』とか『変な宗教をやっている家に生まれなくてよかった』とか、自分とは関係ない問題だと思っている人は多いと思います。でも、本当の恐ろしさを分かっていません。統一教会だって名前を隠しながら、身近なところで活動しています。誰もがある日、飲み込まれてしまう可能性があることをもっと理解してほしいです」
外山さんは、再び山上容疑者の家族のような被害者が生まれないことを願っている。
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)