文部科学省、厚生労働省、経済産業省の三つの省庁が連携して制度の策定、補助金や助成金の交付などを進めている。2007年には学校教育法が改正され「履修証明制度」が創設された。一定のプログラムを修了した社会人に対して、履修証明書を交付。ジョブ・カード(職業能力証明シート)に記載でき、再就職や転職のときにアピールできる。さらに専門的な講座として「職業実践力育成プログラム(BP)」「キャリア形成促進プログラム」が創設され、それぞれのプログラムに応じた履修証明書が交付されている。当初の条件では講座総時間数を120時間以上と設定していたが、社会人の学びやすさを考慮して、19年から60時間以上となった。

■予算や情報の提供で文科省も積極的に支援

 文部科学省でリカレント教育を担当する川島志月さんは、こう話す。

「日本の人口は減少していくわけですから、個人の労働生産性を上げることが必須。そのため文科省としても、リカレント教育を重要視しています」

 22年度にはDXなどの成長分野を中心とした就職・転職支援のためのリカレント教育の推進事業を展開。15.5億円の補正予算をもとに、大学や専門学校などを対象として、DXを始め、グリーン、医療・介護、地方創生、女性活躍、起業、イノベーションなどのプログラムの開発と実施を支援する。

 本事業で開発したプログラムの募集状況や内容は、文科省ホームページや社会人の学びのポータルサイト「マナパス」で公開予定だ。

「昨年度も就職・転職に向けたリカレント教育事業を実施しており、修了生から話を聞くと講座の内容だけでなく受講生同士がつながり、仕事の幅が広がったなど効果が高いことがわかりました。これからも支援を強めていきたいと考えています」(川島さん)

どのような目的で学び直しを行っている(いた)か[図1](アエラムック『大学院・通信制大学2023』より)
どのような目的で学び直しを行っている(いた)か[図1](アエラムック『大学院・通信制大学2023』より)

[図1]を見ると、学び直しの目的が「業務に関わる知識・スキル」を得るとする人の割合はそれぞれ約37~56%と高く、また約11~17%が「学位」「履修修了証」「資格」を得ることを望んでいる。

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現役世代の社会人が圧倒的に多い