平野克己/1956年北海道小樽市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒、同大学院経済学研究科博士課程前期修了、同志社大学より博士号(グローバル社会学)。外務省専門調査員(在ジンバブエ日本国大使館)、笹川平和財団を経て1991年にアジア経済研究所に入所。その後、南アフリカ国際問題研究所客員研究員、ウィットウォータースランド大学客員研究員、ジェトロ・ヨハネスブルグセンター所長、地域研究センター長、JETRO理事を経て2020年より現職。主な著作は『経済大陸アフリカ』(中央公論新社、2013年)、『アフリカ問題:開発と援助の世界史』(日本評論社、2009年)、『南アフリカの衝撃』(日本経済新聞出版社、2009年)、『図説アフリカ経済』(日本評論社、2002年、国際開発研究大来賞)(撮影/写真部・高橋奈緒)
平野克己/1956年北海道小樽市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒、同大学院経済学研究科博士課程前期修了、同志社大学より博士号(グローバル社会学)。外務省専門調査員(在ジンバブエ日本国大使館)、笹川平和財団を経て1991年にアジア経済研究所に入所。その後、南アフリカ国際問題研究所客員研究員、ウィットウォータースランド大学客員研究員、ジェトロ・ヨハネスブルグセンター所長、地域研究センター長、JETRO理事を経て2020年より現職。主な著作は『経済大陸アフリカ』(中央公論新社、2013年)、『アフリカ問題:開発と援助の世界史』(日本評論社、2009年)、『南アフリカの衝撃』(日本経済新聞出版社、2009年)、『図説アフリカ経済』(日本評論社、2002年、国際開発研究大来賞)(撮影/写真部・高橋奈緒)
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「アフリカの人口増加率は1950年代から約70年間、ずっと2%を下回っていません。エイズなどいろんな危機があったにも関わらず、です。これは20世紀の初頭に始まった人口学の常識、方程式からするとあり得ないこと。このトレンドは、やがて世界人口の2人に1人がアフリカ人になるという、驚愕の未来を示しています。いったい、アフリカの家族形態、出生行動、経済社会は、われわれとどこが異なっているのか。今回、人口学と取り組んでみて、これまで以上にアフリカについて理解することができたと思っています。アフリカに限らず人口動向から見えてくるものは大きい」

 長年アフリカの開発研究に携わってきた、アジア経済研究所上席主任調査研究員の平野克己さんが、最新刊『人口革命 アフリカ化する人類』を上梓した。改めてアフリカの「ビジネス・チャンス」について解説する。

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■いまだに中国がアフリカで一強の理由

 アフリカを「アジアのようにモノが安く作れる地域」と見ている企業は必ず失敗します。アフリカはインフラなどが未整備で、大卒者の給与も高い。つまり、とにかくコストが高くつくわけです。低開発とは高コストのことでもあるのです。

 にもかかわらず、「チャイナ・イン・アフリカ」が、世界が注視する大テーマになっているように、中国企業はアフリカ進出に成功しています。それはなぜか。

平野克己氏(撮影/写真部・高橋奈緒)
平野克己氏(撮影/写真部・高橋奈緒)

 中国のビジネスプレイヤーは大きく2つに分けられます。国有企業と民間企業。まず注目すべきは国有企業のほうです。中国の国有企業がアフリカで、中国政府のファイナンスで大規模インフラを作っていますが、要するに彼らの真の顧客は中国政府なんですね。すなわち、アフリカ市場からどうやって利益をあげるかを考えなくてもいいわけです。

 アフリカで働いている大卒者で最も給与が安いのは中国人です。だから、たとえば通信関連の技術者を自国から安い給与で大勢派遣できる。あるいは開発援助で病院を作った時にも、たくさんの医者と看護婦を一緒に送っている。日本はもちろん、どの国にもそんなことはできません。これが中国の最大の強みになっています。

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