現段階で問題となっているのが、受診できる医療機関と宿泊療養のホテルの部屋数が少ないことだという。
7月のある日のこと。大阪府の自宅待機SOSの担当者が、宿泊療養希望者を調整する「入所調整状況一覧」をパソコンで確認したところ、通常はホテル名や部屋の空室数が表示されるのだが、昼前に「当日入所可能数ゼロ」と表示された。
新規感染者が宿泊療養を希望しても、受け入れ可能な部屋がないという内容だ。さらに、翌日の入所可能な部屋もゼロという状態が続いた。
また、休日の医療機関の診察予約画面も、受診ができない「×」が目立つ。前出の自宅待機SOSのスタッフが打ち明ける。
「自宅待機SOSは24時間稼働していますが、電話が非常につながりにくい状況になっています。新規感染者が宿泊療養を希望しても、2~3日ほどお待ちいただく状況です。医療機関の受診も、平日はまだなんとかなりますが、休日はまず無理です。宿泊療養も、6月と7月で1日あたりの部屋数は変わりません。これだけ新規感染者数が増えているのに、対策の改善がほとんどありません。絶望的な気持ちになります」
吉村洋文知事は、7月20日の記者会見で、
「宿泊施設での療養、夜間・休日の医療機関の受診、さまざまなお困りごとがあるかと思いますが、それについては自宅待機SOSという専用のダイヤルを設置していますので、そちらに連絡をいただければと思います。われわれは特に宿泊療養施設の対策を取ってきました。1万室確保しています」
などと述べ、現場との認識の乖離(かいり)がみられた。
その記者会見後、再度担当者に確認すると、「夜でも電話がつながるまで8人、9人、時間にして6、7分待ち。吉村知事の言葉とはかなり状況は違う。コロナ感染者は咳が出るなどで待つのがつらい。本題の前に待たされたクレーム対応でオペレーターも平身低頭です」と話す。21日にも「宿泊療養を希望されても、かなりお時間をいただく。3、4日お待ちいただく可能性」というメッセージを大阪府がSOS待機に流したという。