望月幸美さんと夫のレムコ・アバーソンさん、ヤンネ結ちゃん。近郊移住で自然豊かな暮らしを手に入れた
望月幸美さんと夫のレムコ・アバーソンさん、ヤンネ結ちゃん。近郊移住で自然豊かな暮らしを手に入れた
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 都心の郊外に住まいを移す「100キロ圏内移住」は、コロナ禍でとりわけ注目を集める移住スタイル。「理想の移住」を叶えた3組目は、便利さと自然に囲まれた環境の両方を手に入れた望月幸美さん一家だ。夫のレムコ・アバーソンさん、娘のヤンネ結ちゃんの3人で、海も山も窓から一望できる家に暮らす。都内から小田原市に移住してきたのは2020年10月のことだ。

【写真】休日には自宅からすぐ近くの海へ

※記事<<「都会から逃げたい」で故郷・岩手にUターンを決めた男性 「移住は前向きでなくてもいい」>>より続く

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 移住を考え始めたきっかけは、新型コロナウイルス感染症の拡大で、望月さんの自宅勤務が続くようになったこと。当時の自宅は東京・文京区の2LDKの賃貸マンションで、都内では静かでいい場所だと気に入っていた。でも、自宅にいる時間が長くなるにつれ、手狭に感じるようになっていった。1歳をすぎたヤンネ結ちゃんも活発に動き回るようになったが、子どもを連れて遊びに行くにも、公園までは歩いて30分。アウトドアを楽しもうと思っても、郊外まで行くのに電車で2時間かかる環境だった。

「子どもが外でたくさん遊べる場所があるといいなというのも、移住を決めたもうひとつの理由です」

 アバーソンさんはもともと自宅で仕事をしていたが、都内の会社に勤務していた望月さんにとっては、毎日通勤する必要がなくなったとはいえ、都内へのアクセスの良さも大切な条件だった。

「はじめは東京都と埼玉県の間あたりにしようかとも思ったんですけれど、それだとかえって、満員電車で通勤になってしまう。1時間とか30分とか、在来線で満員電車に乗るくらいなら、新幹線通勤のほうがいいんじゃないかなと思いました。座れるなら通勤時間も仕事に使えますし」

 新幹線で通勤できる候補地として考えたのは、神奈川県小田原市、静岡県三島市、長野県佐久市。手始めに小田原市に相談したところ、お試し移住体験を紹介された。

「小田原市に申し込んだお試し移住体験は、金土日の週末のプランで、普通の宿泊よりは安く宿に泊まれて、希望すると町を案内してくれたり、質問にも親切に答えてくれるという気軽なプランでした。行く前までは小田原って、なんとなくひなびているのかな?というイメージがあったんですけれど、行ってみたらいいほうに違っていて、『ここなら住めそう』と感じました」

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週に数回は東京に新幹線通勤