河合塾によると、上智大の受験生が国公立大学を併願している割合は、入試改革前の20年度は42%だったが、改革後の21年度は53%に増加した。東京大の併願者は5%から8%、一橋大は4%から6%、京都大は1%から2%にそれぞれ増えた。合格者の偏差値帯では、偏差値70以上が20%から26%へ増加したという。

「共通テスト利用の入試を導入する前は私大専願者が受験者の大半を占めていましたが、国公立大学との併願者が劇的に増えている。しっかりと勉強してきた受験生を集めることができているのではないか」(近藤氏)

 また、冒頭で飯塚事務長が述べたように、英語力のある入学者が増えている。上智大によると、4月入学者の入学時点でのCEFR B2レベル(英検準1級レベル)取得者は、入試改革前の20年度が17.4%だったのに対し、入試改革後の21年度は35.8%に大きく増加したという。

 一方、上智大が課題視しているのが「実志願者数」の減少だ。

「志願者数」は、一般的に併願を含めたのべ人数の志願者数を指す。つまり、1人の受験生が同じ大学で3学部を受験すれば、志願者数は3人になる。これに対し「実志願者数」は、1人の受験生が同じ大学で何回併願しても1人と数えた志願者数のことだ。

 上智大の実志願者数は、18年度は約1万8千人だったのが、19年度は約1万6千人、20年度は約1万5千人と減少。さらに入試改革が行われた21年度は約1万3千人、今年度は約1万1千人と、減少が加速している。ある上智大関係者は「大きな声では言えないが志願者数が減ると検定料収入が億単位で減る。その点をとらえて、幹部の中には『入試改革は失敗だったのでは』と言う人もいる」という。

 なぜ入試改革が実志願者数の減少につながるのか。先の飯塚事務長はこう分析する。

「外国語の民間試験のスコアを任意提出としましたが、『英語のスコアを持っていないと厳しい』という印象を与えてしまった可能性がある。以前なら『英検は持っていません』という受験生も多く挑戦してくれましたが、そういう人が減りました。外国語外部試験が提出できなくてもそれほど大きなビハインドにならないことをもっと伝える必要があると考えています」

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志願者増加に向けた新たな入試方式とは