山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師
山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師

日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「感染者再拡大で考えるワクチン追加接種」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。

【東京都内のBA.5の割合と感染速度の予測はこちら】

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 新型コロナウイルスの感染が、7月に入り再拡大しています。7月24日には、第6波の際の国内の最多新規感染者数であった10万4136人(2022年2月5日)を上回る15万559人を記録しています。

 勤務先のクリニックは、発熱や風邪症状を認める人で連日混み合っています。38度を超える発熱を認める方にPCR検査や抗原検査を行うと、高い確率で陽性を認めています。PCR検査の場合、どうしても結果が出るまでに時間を要します。そのため、10分足らずで結果がわかる抗原検査の方が、外来で迅速にコロナかどうか判断するには便利です。しかしながら、その検査キットも、急な感染増加に伴い在庫がなくなってしまいました。いつ入荷されるかも分からない状態です。

 昨年も一昨年も、夏の時期に感染拡大していたことから、「今年の夏も流行するのだろう」と予想してはいましたが、あまりの陽性者の急増と、待合室に入りきれない程の方が連日受診されていることに、正直驚いています。

 第7波の流行の主体は、オミクロン株BA.4とBA.5です。第6波の時のオミクロン株と同様に重症化はしにくいようですが、感染力は強いようです。

 では、私たちはどうすればいいのでしょうか。医学的に合理的な対策は、換気とワクチン接種です。換気が有効な対策なのは、新型コロナウイルス感染の大部分は、エアロゾルを介した空気感染によるからです。コロナ感染は主に屋内で起こり、換気することが感染予防に最も有効であることがわかってきています。たとえ室内であっても、徹底的に換気をすれば、感染リスクは低くなることが報告されています。

 とはいうものの、熱中症になりそうな暑さが続いている夏の日に、窓を開け閉めすることによって換気をするには限界があります。そこでおすすめしたいのが、HEPAフィルターを使用した空有清浄機です。

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山本佳奈

山本佳奈

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。ナビタスクリニック(立川)内科医、よしのぶクリニック(鹿児島)非常勤医師、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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