そのステイゴールドが送り出した代表産駒の三冠馬オルフェーヴル、G1レース6勝のゴールドシップも一筋縄ではいかない名馬だった。

 オルフェーヴルはデビュー戦で勝利後に鞍上を振り落として放馬。クラシック三冠に有馬記念を制して名馬としての地位を確立後も、2012年の初戦だった阪神大賞典で折り合いを欠き、2周目の第3コーナーで外ラチまでまっすぐ突き進むまさかの展開に。鞍上の池添謙一騎手がなんとか手綱を引いて激突は避けたが、急ブレーキで一気に後方までポジションを下げてしまう。

 しかしオルフェーヴルはここからレースに復帰すると、大外から豪快な末脚を発揮。最後は内をロスなく進んだギュスターヴクライを半馬身だけとらえられなかったが、その破天荒ぶりと驚異的な能力をあらためて示すこととなった。

 その秋に欧州遠征して参戦した凱旋門賞でも、最後の直線で先頭に立って日本の悲願達成かとファンが喜んだのもつかの間、急激に内ラチに向かって斜行。失速したところを伏兵ソレミアに差されてしまった。

 一方のゴールドシップも調教時に乗り役を落としたり、急に後肢で立ち上がったり、厩務員に噛みついたりと日常的に奇行が目立っていたという。レースでもゲート入りを嫌がるなど気難しい面を見せていたそんなゴールドシップが、ついにやらかしたのが2015年の宝塚記念だった。

 JRA史上初の平地G1レース3連覇の偉業へ向け、単勝1.9倍の圧倒的な1番人気に推されていたゴールドシップ。この日は割と素直にゲートに収まったのだが、ゲートが開いた瞬間にガバッと立ち上がってしまったのだ。その後、体勢を立て直したが時すでに遅しで、ブービーの15着に大敗。スタートの一瞬で馬券全体の6割超に当たる約121億円が紙くずと化したこの大事件は今なおゴールドシップという破天荒キャラを語るうえで欠かせないエピソードで、『ウマ娘』でも魔訶不思議な言動でユーザーを困惑させる愛されキャラとしてその地位を確立している。

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逆に憶病な性格ながら大成した名馬も