先に触れたように、日本に届くニュースはどうしても大谷推しのバイアスがかかったものが多くなりがち。またファンの大多数は大谷にMVPを取ってほしいと願っているだろうから、聞こえのいい情報以外を否定したくなる気持ちも働くだろう。しかしそれぞれの地元メディアを除いた中立性の高い現地報道や各種データからは、現時点でのMVP争いは「ジャッジ優勢」というのが正直なところだ。
大谷にはまだ「投手としての規定投球回と打者としての規定打席到達」という偉業達成の可能性が残されてはいる。だがジャッジが62本塁打を放って「61年ぶりのマリス超え」という偉業の方が分かりやすくインパクトも大きいのは否定しづらい。しかも記録更新が近づくにつれてジャッジへの注目と報道が過熱していくのは間違いない。
一方で昨季の大谷は本塁打王争いに加わっていたため最後まで注目度が高かったが、今季は投打とも高水準ではあるもののタイトルに絡めるほどではない(27本塁打はア・リーグ5位、防御率2.83は同8位相当)。メディアの注目度も大事なシーズン終盤でのアピールという点ではジャッジに比べてやや劣勢か。
いずれにしても、大谷の2年連続リーグMVP獲得なるかは、ジャッジのマリス超えがなるかどうかが大きなポイントになりそうだ。(文・杉山貴宏)