宮沢さんはその言葉を聞いて、涙を流し、

「いままでありがとうございました」

 と声を絞り出しました。

 私の心の奥に漂っていたモヤモヤが消えていった瞬間でした。

 それは桜が咲き始めた、春の穏やかな木曜日のこと。ずっと忘れることができない患者さんのお話です。

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