執筆机(和歌山市立有吉佐和子記念館)
執筆机(和歌山市立有吉佐和子記念館)

 有吉さんは84年、53歳で急逝する。72年の平野氏との対談で、こう言い残していた。

「耄碌(もうろく)して、はたに迷惑をかけても、私は生きてやろうと思いました」(※3)

「長生きすると、周囲に迷惑をかけるから」と思う高齢者は多い。半世紀前に高齢社会を予見した有吉さんの、この言葉を広く伝えたい。

※1文部科学省および日本学術振興会 科学研究費助成事業・基盤研究A「日本社会の『老い』をめぐる分野横断的研究-『迷惑』と『ジリツ』の観点から」(主任研究者 岡山大学 本村昌文)/※2「『恍惚の人』を書かせたボルテージ 一生懸命働かなければボケちゃう。私、ボケるのいやだ!」(潮、1972年9月号)/※3対談「“老い”について考える」(波、1972年6月号)

週刊朝日  2023年3月10日号

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