●ギャグでスベるのはダメージがデカい

 ちなみに、ボクは、ギャグで「笑いをとろう」とは正直あまり考えていない。もちろん、笑いをとれるに越したことはないんだけどね。ギャグで、100%全力で笑いをとりにいくと、失敗した時のダメージがデカいから嫌なんだ。

 さっきも伝えたけど、今田さん司会の生放送番組でのスベリっぷりは、今でも大きなトラウマだからね。たしか、その番組では、最初、安田大サーカスで漫才を披露したんだけど、正直ウケがあんまり良くなかったんだよね。だから、その後のフリートークで、何とか挽回のために爆笑をとってやろうって思ったの。「ボクが団長とHIRO君を助けるんだ」ってくらいの気持ちでね。起死回生を狙って、全力で放り込んだギャグだったのに、まさかの結果になったから、びっくりしたよ。あまりの会場の空気に、あの今田さんが黙り込んだからね(笑)。

 キャバクラでは大爆笑をとっていた自信満々のギャグだっただけにダメージがデカすぎた。そういえば、当時のボクはギャグを思いつくと、まず、最初にキャバクラで試していたような気がする。すごいウケるから、なんか自信がつくんだよね。でも、よくよく考えたら、キャバクラでギャグがウケるなんて当たり前。だって、こっちは高いお金を払ってるんだから(笑)。

 とにかく、自分に降りかかるダメージをできるだけ少なくしたいから、ギャグで、100%全力で笑いをとりにいくことは、今後もほとんどないといっていい。言葉は悪いかもしれないけど、今では「箸休め」的な感覚で気軽に放り込むっていう意識のほうが強い。そういうラフな感じでいたほうが、傷つかなくてすむからね。ギャグは、あくまでも会話を盛り上げるためのアクセントの一つくらいの感覚。そんな大げさなものじゃないよって思うことが、ボクなりのポイントかな。

●「ワワワワワァ~♪」はナイナイ・岡村さんの影響?

 あまり知られていないかもしれないけど、安田大サーカス結成直後からやっている「クロちゃんです!」は、実は、ボクが考えたギャグじゃない。発案者は、実は、団長なんだ。

 髪形はスキンヘッドで、顔はいかついのに、声はめっちゃ高い。そんなボクの最大の特徴を漫才になんとか生かそう、そんな発想がギャグ誕生のきっかけになったらしい。

「怖い顔をしながら『クロちゃんです!』ってめっちゃ高い声で自己紹介したら面白いんちゃう?」。

 団長が、おもむろに、そんな風に言いだしたのを覚えている。ただ単にセリフを言うだけじゃギャグっぽくないから、「クロちゃんです!」と同時に、両手で胸を開くようにする動きも、この時につけてもらった。「とにかく、見栄えを大きく見せろ」、当時はよくそんなふうに注意されたね。

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