ボクはお笑いの経験や知識がまったくなかったら、このギャグの一体何が面白いのか、正直当時は全然理解できなかった。でも、舞台などで披露するたびに、お客さんの反応は上々だったから、これにはすごく驚いたよ。まさか、こういう顔立ちのボクから、高い声が出るなんて、お客さんはまったく予想できなかったんだろうね。ファーストインプレッションの影響ってすごいなって改めて思ったよ。
そういえば、まだ、この時点では「クロちゃんです!」の後のセリフは「わー」の一言のみだった。その後、「ワワワワワァ~♪」に変化することになるんだけど、実は、それにはナイナイの岡村隆史さんが深く関係しているんだ。
もう15年くらい前になるかな。「めちゃイケ」の「やべっち寿司」っていうコーナーに出演した時に、岡村さんにギャグの「わー」の部分について、少しいじられたんだよね。「わー」のセリフをしつこく何度か言わされたり、「わー」のタイミングと同時に、右手を口元に近づけるように指示されたり、逆に離すように指示されたり。
ちなみに、その時に、岡村さんに指示された一連の流れは、こんな感じ。
【1】「わー」と言いながら、右手を口元から離す
【2】「わー」と言いながら、今度は右手を口元に近づける
【3】「わー」と言いながら、また右手を口元から離す
【4】「わー」と言いながら、またまた右手を口元に近づける
【5】「わー」と言いながら、最後にまた右手を口元から離す
つまり、「わー」のセリフと右手の動きを交互にやるようにいじられたって感じかな。
最終的には、上記の一連の流れを連続で素早くやるように指示されたんだけど、結果的にその動きが「ワワワワワァ~♪」の原型になったってわけ。イメージしづらい人は【1】~【5】を連続で素早く実践してみて。今のボクがやっている「ワワワワワァ~♪」に近い動きになるから(笑)。ようするに「ワワワワワァ~♪」が生まれたのは、岡村さんのいじりのおかげってこと。なんだか感慨深い。
「ワワワワワァ~♪」の動きは、すぐにしっくりきたような感覚があった。これまでにも、いろんなアレンジを試してきたけど、正直どれもいまいちだったから、やっとギャグが完成したような気分になってうれしかったね。でも、まさか、その時の絡みで生まれた一連の動きを、こんなにも長い期間やり続けることになるなんて考えもしなかったよ。
あれからずいぶん時間がたったし、「クロちゃんです!ワワワワワァ~♪」に匹敵するくらいの新たなギャグがほしいなー。
岡村さん、また、ずっと出来るギャグを作って欲しいしん!
(構成/AERA dot.編集部・岡本直也)