1967、68年、秋田県立秋田高校が剣道で連覇する。学校史には進学校らしい誇りを掲げこう書かれていた。

「選手たち全員進学希望である。そのため毎日の練習は放課後の一時間だけ、文字通り秋高の目標である勉学とスポーツの両立にとりくんでいる。この年度を迎えて、「大きな目標の前に歯を食いしばれ」ということを合言葉に、一方、「如何に苦しくとも互いに礼節を守りぬけ」という中での鍛錬から得た勝利といえよう」(『秋高百年史』1973年)

 静岡高校と秋田高校はほぼ同じ時期にスポーツで日本一をきわめた。両校が回顧するフレーズに「礼儀と節度」と「礼節」、「強い意志の力と健全な身体」と「鍛錬から得た勝利」など、どこか通底するものがある。そして根性主義も見え隠れする。

 一中のスポーツには体育会的体質、旧態依然の精神論が横たわっていた、と言えようか。

 ほかの競技で一中の全国制覇のおもな学校は次のとおり(原則として全国高校選手権。選抜大会を除く)。

 野球の愛媛県立松山東高校。サッカーの広島県立鯉城高校(現、広島国泰寺高校)、埼玉県立浦和高校、栃木県立宇都宮高校。弓道の三重県立津高校。新体操(女)と弓道(女)の鳥取県立鳥取西高校。サッカーとハンドボール(女)の京都府立洛北高校、なぎなたの琉球政府立首里高校、など。

教育ジャーナリスト・小林哲夫

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