“BIG BOSS”は監督就任以来、清宮に対して大きな期待を寄せてきた。自主トレ期間中にダイエット指令を出したり、筋肉増強によるマッチョ化計画も提案。シーズン中は打順を変えて起用するなど、覚醒を促すために色々と試してきた。飛び抜けたスラッガーが不在となっている打線の中心を任せたいという思いが伝わってくる。

「新庄監督は現役時代から勢いを大事にして結果を出してきた。今季は清宮本人のやる気と勢いに手応えを感じており、ブレイクすることを確信していたはず。前半戦が良い感じだったので、夏場からの急降下には驚きすらあるのではないか。今は一皮むけるチャンスだけに、シーズン残り試合でどこまで盛り返すかにも注目が集まる」(日本ハム担当記者)

 昨年はプロ入り初めて一軍での出場がなかった清宮だが、今季は7月上旬に自身初となる2ケタ本塁打に到達。また、7月26日のオールスターゲーム第1戦(福岡PayPayドーム)では、広島・森下暢仁からサヨナラ本塁打を放った。結果とともにプロ入り当時の注目度も取り戻しつつあった。このまま今シーズンを駆け抜け、来季開場するエスコンフィールド北海道の顔となることが期待されていたが……。

「いつもの清宮に戻ってしまった。調子に乗りやすい性格が悪い方に作用してしまう。調子に乗ったまま野球に専念すれば良いのだが、どこかで慢心してしまい手を緩めてしまう。また考え込みやすい性格なので、1度調子を落とすとテンションも下がって抜け出すのに時間がかかる。新庄監督の発言もその辺を危惧してのものでしょう」(日本ハム担当記者)

 8月の月間打率は1割台前半と落ち込み、練習中には元気のない姿が見られるなど、周囲も心配するほどだった。

「マイペースな部分とともに、繊細な面も併せ持っている。アマチュア時代も結果が出ない時は元気がない時もあった。そこを奮い立たせていたのが父・克幸氏だった。ラグビー界のレジェンドでもある愛する父からのちょっとしたアドバイスが大きな支えとなっていた。プロ入り後、チームに同様の存在がいないのも飛び抜けられない理由ではないか」(アマチュア時代知るスポーツライター)

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精神的な“図太さ”が飛躍のカギか