認知症の予防可能なリスク因子

■本人を否定しない家族の関わり方

 進行をゆるやかにし、患者ができるだけ穏やかに暮らすためには、家族の対応も重要だ。患者の言葉や行動に対して、叱ることや否定的な言動は避けることが望ましい。

「患者さんにとっては自分が感じている世界が真実なので、その言葉や人格、存在を否定するような言葉は使わないようにしましょう。叱っても、叱られた内容は忘れてしまい、叱られたというネガティブな体験だけが患者さんの中に残ってしまいます」(同)

 家族が良かれと思うことが逆効果になることもある。例えば脳力トレーニング(脳トレ)は、本人が興味をもってする場合は良いが、強制的にやらされると負の感情だけが大きくなり、うつ症状につながることもあるという。

「大事なのは患者さんが無理なく続けられることです。情動がアクティブになることが脳の良い刺激になるので、脳トレに限らず、楽しくできることなら、どんな活動でもいいと思います」(塚本医師)

 こうして認知症患者と向き合っていく家族らの身体的、精神的負担は大きい。症状が進行したらどうすればいいのかなど、生活や症状に対する不安を和らげるために、自治体では認知症になった人とその家族をサポートするさまざまな支援体制を整えている。

「患者さんやご家族の希望、症状の進行度などによって必要な支援は異なります。まずは地域のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談すると、何に困っているか、どんな支援が必要かなどについて話し合えるでしょう。症状が進行して問題行動が増えた場合は、最寄りの認知症疾患医療センターなどに相談してもいいでしょう」(同)

(文・出村真理子)

※週刊朝日2022年9月16日号より

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