最後に今年一軍ではほとんど戦力になれなかったものの、大きな期待を抱かせる選手として挙げたいのが五十幡亮汰(日本ハム)だ。プロ入り1年目の昨年は27試合の出場ながら9盗塁をマークし、盗塁失敗も1と持ち味のスピードをアピールしたが、今年はオープン戦で腰を痛めて椎間板ヘルニアの手術を受け、実戦に復帰したのは8月下旬だった。それでも9月23日の楽天戦で今シーズン一軍初出場を果たすと、体への負担を考えて2打席で交代となったもののいきなり2安打1盗塁をマークしている。その脚力は間違いなく12球団でもトップであり、相手守備に与えるプレッシャーは相当なものがある。その脚力に耐えられるだけの体の強ささえ身につけば、打線の大きな武器になることは間違いないだろう。

 今年もセ・リーグでは湯浅京己(阪神)、高橋宏斗中日)、長岡秀樹(ヤクルト)、岡林勇希(中日)、パ・リーグでは阿部翔太(オリックス)、大関友久(ソフトバンク)、水上由伸(西武)、高部瑛斗(ロッテ)などプロ入り間もない選手が多くブレイクしているが、昨年の時点で今年ここまで活躍すると予想していたファンは多くなかったはずだ。それだけに今回取り上げた以外でも、秋季キャンプやフェニックスリーグできっかけをつかみ、大ブレイクへの足掛かりとする選手が多く出てくることを期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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