気になるのは守備位置だ。今年先発した27試合中26試合がファーストでの出場となっているが、後半戦からは中田翔が復調しており、今後も外国人選手の補強などを考えると、出場機会を増やすには他のポジションもしっかり守れることをアピールする必要がある。この秋以降は持ち味の打撃はもちろん、守備面でも可能性を見せることができるかが、増田の将来を大きく左右することになりそうだ。

 パ・リーグの投手では根本悠楓(日本ハム)にブレイクの兆しが見られる。ルーキーイヤーの昨年は二軍で12試合の登板ながら防御率1点台をマーク。今年は開幕戦にリリーフで登板して一軍デビューを果たすと、その後は登板間隔を空けながらではあるが主に先発として起用され、55回2/3を投げて防御率2.43という好成績を残している。173cmと投手としては小柄で、スピードも140キロ台前半がアベレージと目立った速さはないものの、ストレートでも変化球でもしっかり両コーナーに投げ分けるコントロールはとても高校卒2年目の投手とは思えないレベルにある。

 また球種もそれほど多くなくても、スライダー、チェンジアップの対になるボールに変化やスピードのバリエーションがあるのも大きな武器だ。フォームや投手としてのタイプは少し違うが、今年ブレイクした加藤貴之(日本ハム)もスピードで勝負しないタイプのサウスポーとしての共通点があり、そんな先輩がチームにいることも根本にとってプラスとなるだろう。

 パ・リーグの野手で今年わずかな出場ながら強烈なインパクトを残したのが渡辺陸(ソフトバンク)だ。2018年の育成ドラフト1位でプロ入りし、最初の2年間は二軍での出場もなく三軍暮らしが続いていたが、3年目の昨シーズン途中に支配下登録を勝ち取った。今年は5月に一軍初昇格を果たすと、初スタメンとなった28日の広島戦で2打席連続ホームランを含む3安打と大暴れを見せたのだ。

 7月以降は成績を落として二軍暮らしが続いているものの、20試合の出場で9安打、3本塁打という結果を残した。また二軍での成績は打率3割を超え、OPSも9割近い数字を残すなど、昨年と比べても明らかに成長が見られる。守備面ではまだブロッキングが不安定で課題はあるものの、地肩の強さは持ち合わせている。正捕手の甲斐拓也は今年で30歳とまだ若く、レギュラーを奪うのは簡単なことではなさそうだが、貴重な打てる捕手として来年以降も楽しみな選手である。

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“球界一のスピード”を持つ男のブレイクにも期待