■ ニュースは自分の中にもある

「AERA」の木村恵子編集長は22歳で朝日新聞社に入社し、新潟支局や千葉支局での「サツ回り(警察回り)」などを経験した。そして朝日新聞社出版局(現在は朝日新聞出版)にあった「AERA」編集部へ27歳で異動を希望する。現在は、2人の女の子を育てるママでもある。

木村:「地方出身の女は損!?」という誌面を担当したりしました。私は福井県出身で、地方出身の女性が都会で仕事をすることへのストレスをとても感じていました。なので、その思いを誌面で発散する!みたいな。入社後は事件などを取材し、もちろんそれも面白かったんですが、「ニュースは自分の中にもある」と思ったんですね。ぜひ、普通の人が抱える悩みを記事にして掲載したいと思いました。

 働く女性として、20代だった木村が抱えていた悩みを記事にしていった。そしてそれは、すごく楽しかったと語る。30歳を超えても楽しかったが、「このまま続けていたら自分はどうなるんだろう?」という思いも、じわじわと増えていったという。

木村:「自分の人生って?」と思ったことも度々ありました。雑誌の場合は比較的、異動もなく仕事ができるのでは?という思いが、心の中には確かにありました。36歳で第1子を出産したときは本当にきつくて……当時は副編集長で、テレワークなどありませんでした。

 子どもを保育園に20:30まで預けて、最初はベビーシッターさんも雇っていましたが、仕事も育児も家事もうまく回らなかったんですね。副編集長はいわゆる管理職。藤川さんの話ではないですが、周囲の環境をちょっと変えてみると違ってくるかもしれないと思ったんです。

 41歳で第2子を出産したときに、PM7時15分まで預かってもらえる保育園に敢えて預けました。「それでもちゃんと迎えに行けるような生活にしよう」っていう風に考えたんです。編集部や仕事の仲間にも理解してもらって、働き方を変えていきました。仕事を整理したというよりも、やり方を変えたり、効率化したり、「この時間に帰ります」と周りに伝えたりして。いまは、小5と5歳の2人の娘がいます。

■編集長の仕事と暮らしのマイルールとは?

 働くママの中には仕事場で、「すいません。お迎えがあるので帰ります」という言葉を発することに勇気が必要だったり、後ろめたさを感じたりする人もいるだろう。そして以前は、夜中までオフィスで仕事していたという人も多かったはずだ。特にマスコミの場合、AM2時過ぎまで編集部で仕事をする部員たちも多かった。

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