西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修さんは、侍ジャパンのメンバーにアドバイスを送る。
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2月17日に始まった侍ジャパンの宮崎合宿。第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)への期待値の大きさもあるだろうが、ダルビッシュ有(パドレス)が日本の選手とともに汗を流す姿を見るだけでも、ファンにとってはうれしい限り。3月に入れば、大谷翔平(エンゼルス)、鈴木誠也(カブス)、吉田正尚(レッドソックス)も合流して、ますます盛り上がるだろう。
先発ローテーションについては、ある程度固まっていることだろう。今大会は、かつてあったような、一度負けると敗者復活の試合が生まれるといった試合数が変動する大会ではない。1次ラウンドは4試合。勝ち抜けば、16日に準々決勝を行い、ベスト4に入れば、米国で準決勝、決勝を戦う。優勝までは7試合。実績ある投手、ダルビッシュ、大谷、山本由伸(オリックス)あたりは力を発揮できる状態に仕上げてくれると信じて、首脳陣は登板スケジュールを組んでいる。
ダルビッシュと大谷のどちらかは3試合に登板させることになるだろう。3試合投げさせるには、9日の中国戦、10日の韓国戦と1次ラウンドの早い段階で先発することになる。そして16日の準々決勝と米国時間21日(日本時間22日)の決勝に先発する。もう一方は、1次ラウンドと同20日(同21日)の準決勝となるのかな。
もちろん、2人の所属球団であるパドレス、エンゼルスは、日本側に1次ラウンド、準々決勝、準決勝&決勝と、無理のない範囲で球数を増やしながら起用してほしいという「要望」を出していることだろう。そういった「制約」も考えながらの起用になる。そこにNPBの投手をどう絡めていくか。
今大会は初めて日本製ロージンバッグの使用が可能になったという。従来のローリングス社製のMLB仕様に加えてミズノ社製が使えることは、日本にとっては大きい。日本製に比べてベタつきやすいMLB仕様のロージンは、日本の気候の中で対応できても、米国に行ったらなじまないとか、その逆のパターンだってある。選択肢が増えれば、しっかり腕を振って投げられる「安心感」を得られる可能性は増す。