うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格した杉山奈津子さんも、今や小学生の男の子の母。日々子育てに奮闘する中でとり入れている心理テクニックや教育方法をお届けします。今回は「ゆたぼんに期待すること」についてです。杉山さん自身が心理カウンセラーとして学んできた学術的根拠も交えつつ語る『東大ママのラク&サボでも「できる子」になる育児法』も絶賛発売中です。ぜひご覧ください。
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中学生YouTuberで少年革命家のゆたぼんに、最近また注目が集まっています。学校に行かないことをモットーとしている彼は、クラウドファンディングで資金を集め、不登校の子どもやその親御さんたちに元気と勇気を与えるべく全国をまわる活動を始めました。
しかし出発から2カ月、アップされた動画のなかで不登校の子どもと話しているものは一つしかなく、そのほかは彼が観光地を訪れ、遊んだり食事をしたりというものになっているとのこと。そこに、「本来の趣旨と違うのでは」と、批判が生じているようです。
■不登校でも、家で一生懸命学習している子もいる
ゆたぼんは「YouTubeに投稿しているのが一人なだけで、35人以上の不登校児と会っている」旨の発言をしているそうですが……それが事実であると証明できていないからこそ、疑問の声が生じているのではないでしょうか。
不登校の子どもは、学校に行っていない(行けていない)ことを負い目に感じていることも多いです。そう考えると、YouTubeという不特定多数の人が見る場所で顔を出すことはかなり難しいでしょう。本来ならその問題を見越したうえで、クラウドファンディングに協力してくれた人たちに向けて、「実際に会っている」という証明の仕方を考えておくべきだったと思います。
私も、学校は必ず行かなくてはいけない場所だとは思っていません。私の知り合いにもさまざまな理由で不登校の子がいますが、家で一生懸命学習している子もいます。現代では、ホームスクーリングも一つの選択だと思います。
■ゆたぼんは不登校の子に勇気や希望を与えられる存在なのか
かくいう私自身も中学高校のころに、うまく学校に行くことができなかったという経験をもっています。ですから不登校の人たちにとって、もし「学校に行かないこと」を肯定して、勇気や希望を与えてくれる存在がいれば心強いな、と思います。
ただ、果たして今現在のゆたぼんが、全国の不登校の子に勇気や希望を与えられる存在になっているかというのは、疑問に感じるところです。