突然ですが、眠りで困った経験はないですか?快眠できないと日常生活にも支障をきたしかねないので放っておけないですよね。「不眠」は現代病のように思えるかもしれませんが、実は古くから人々を悩ませている症状で、中国の伝統医学である「中医学」では二千年前の古典にもその対処法が記されているほど。そこでこの記事では、日本の漢方のルーツである中医学をもとに、【気持ち良く眠るためにできること】を、4つのタイプ別に分かりやすく説明します。
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■血の不足が主な原因
「不眠症」の多くは、ストレスや不安感といった精神の不調が主な要因です。中医学では、こうした不眠の症状を五臓の「心(しん)」の不調と考えます。
心は、精神を安定させる「血(けつ)」の流れをコントロールし、精神活動の中枢を担う臓器。そのため、心の血が不足すると、精神が不安定になり不眠の症状が現れるのです。また、血を蓄える「肝(かん)」、血を生む源となる「脾胃(ひい)」(胃腸)の不調も、不眠の要因となるので注意が必要です。
その他、更年期や加齢、暴飲暴食など不眠の原因はさまざま。不眠が続くと身体の不調にもつながるので、原因を早めに取り除き、質の良い睡眠を取れる体質づくりを心がけましょう。これから具体的に対策をお伝えします。
<チェック!>快眠体質を作る!タイプ別「不眠」の改善方法
憂鬱、不安、イライラなど、不安定な精神状態にも様々なタイプがあります。ストレス過多の「気鬱(きうつ)」タイプ、女性に多い「血虚(けっきょ)」タイプ、更年期の「イライラ」タイプ、消化不良の「ムカムカ」タイプの4タイプに分けてご説明します。それぞれに合った対処法をきちんと知って、快眠体質を目指しましょう。
【タイプ1】ストレス過多の「気鬱(きうつ)」タイプ
<気になる症状>
寝付きが悪い、よく夢を見る、憂うつ、胸苦しい、ストレスが多い
<改善ポイント>
●精神の安定が快眠のポイントに
中医学では、感情を「喜・怒・憂・思・悲・恐・驚」に分けて考えます。これを「七情(しちじょう)」と言います。これらの感情が過度に続くと、臓腑の気血(きけつ)に悪い影響が現れます。この中で特に不眠と関わるのは、 「憂鬱(ゆううつ)」 「怒り」 「悩み(思)」 「悲しみ」の4つ。これらの感情がストレスとなり「心(しん)」「肝(かん)」「脾(ひ)」に影響すると、精神を安定させる血が不足して不眠が起こります。
特に、このタイプは感情のコントロール機能を持つ五臓の「肝(かん)」に注意が必要。ストレスで血が不足すると肝の機能が低下。すると、感情のコントロール機能も低下することで、さらにストレスも悪化する、という悪循環に陥ってしまいます。
とにかくストレスの発散を心がけ、症状が重くなる前に早めに改善してしまいましょう。
<摂り入れたい食材>
香りの良いもので、ストレスを発散させましょう。
菊花茶、金木犀の花茶(桂花茶)、ジャスミンの花、しそ、セロリ、香菜、春菊など
※花類はドライハーブとして市販されています。熱湯を注いでハーブティーとして楽しみましょう。
【タイプ2】女性に多い「血虚(けっきょ)」タイプ
<気になる症状>
不眠の慢性化、浅い眠り、不安感、健忘、動悸、めまい
<改善ポイント>
●月経中や産後にも要注意
血(けつ)は陰陽の分類では「陰」に属し、「静」の性質持ち、精神活動を支える役割りを担っています。このため、病後や月経中、産後などに血が不足すると、精神が休まらず不眠の症状につながってしまうのです。
このタイプの不眠症は慢性化しやすく、眠りが浅いことも特徴。不安感や動悸、めまい、健忘などの症状も見られます。不足している血を補うことを中心に対策をしてみてください。
<摂り入れたい食材>
甘みのあるもので、体内の足りない血を補いましょう。
黒砂糖、百合根、クコの実、ナツメ、赤ワイン(少量)、竜眼肉、干しぶどう、たまごなど