順天堂大学順天堂医院産科・婦人科教授の北出真理医師はこう話す。
「手術は患者さんに再発のリスクをきちんと説明してくれて、術後の薬物療法など時期に応じた適切な治療法を提案してくれる医師のもとで受けるべきです。子宮内膜症の状態にもよりますが、手術は卵巣機能を低下させるリスクがあり、繰り返し手術をすれば、さらにそのリスクが高まります。卵巣温存手術を受けた場合は、再手術を避けるためにも早く妊娠するか、薬で継続的にコントロールすることが重要です」
手術回数を増やさないためにも、手術と薬物療法、不妊治療を組み合わせて考えながら、計画的に治療することが大切だ。
「子宮内膜症の手術をおこなう際には妊孕能の温存、痛みなどの症状の軽減、悪性腫瘍の予防などを総合的に考慮しなければなりません。子宮内膜症は多臓器に及ぶ場合もあるため、総合的に診療ができる大きな病院か、大学病院や総合病院とクリニックなどとの連携体制のもとで治療を受けるのが望ましいです」(北出医師)
患者の希望やライフプランをしっかりと受け止めてくれる医師のもとでの継続的な治療が必要だ。
(文・伊波達也)
※週刊朝日2022年10月14-21日号より

