進藤さんは幼いころの田中被告を思い、こう考えを話す。
「生まれながらの悪人というのは、僕はいないと思っています。涼二も、助けが必要な時に誰も助けてくれなかった。組に入るときも止めてくれる人がいなかった。誰かが守ってくれれば、ここまで道を踏み外さないチャンスはあったんじゃないか。だからこそ、心の奥底にある良心を引き出し、罪と向き合わなければいけない。死んで責任を取りたいという気持ちもわからないではないが、それは一瞬の苦しみであり、楽な道だと思っています」
9月30日に行われた裁判で、検察側は無期懲役を求刑した。そのあとに送られてきた田中被告の手紙にはこうあった。
「生きて罪を償わなくてはいけない、それが子供たちへの償いになる」
かつて裏切るように姿を消した田中被告への支援。
それは子ども3人の死から目を背けることを許さず、償いを続けながら生きるという、より苦しい道へと導いたということでもある。
一審判決は、10月11日に言い渡される。(AERA dot.編集部・國府田英之)