カンニング竹山さん(撮影/今村拓馬)
カンニング竹山さん(撮影/今村拓馬)
この記事の写真をすべて見る

「M-1グランプリ」「R-1グランプリ」と同様に決勝戦が全国放送されるお笑い王者決定戦で、「コント日本一」を決める大会「キングオブコント2022(以下、KOC)」の放送を見ていたというお笑い芸人のカンニング竹山さん。放送を見ていて、深く考えたことがあるという。

【写真】カンニング竹山のかつて憧れの存在でいまは「オッサンの先輩」はこちら!

*  *  *

 今年の「KOC」は、正直、僕も知らないような若手芸人ばかりが出演していました。コロナ禍で劇場でのライブも一時期なかったので、若手を知る機会が減っている。もちろん、知っているコンビも出ていましたが、「こんなコンビがいるんだ!」と思って見ていました。

「面白いな」「よくできているな」と思うと同時に、自分の芸に対して「やべぇな」という気持ちも出てくる。これは、芸人を始めたときからもあって、「KOC」や「M-1」で1回戦落ちしているときから沸いてくる気持ち。他の芸人の姿を見ると「やべぇな」という焦りはある。

 でも、今年の「KOC」を見ていて「やべぇ」と思ったところで、この舞台には僕はのれないし、年齢も違うわ! もちろんキャリアも違うし!

 そこで、まず思ったのは「年を取ったな」ということ。僕は、気が付いたら51歳で、まだまだコントでも現役みたいなつもりでいたんだけど、実際、もうコンビではないのでネタもやっていない。「これが年を取るということか……」と思ったんですよね。

「KOC」に出演している若手芸人からすれば、僕なんかは「大先輩」とか言われる年代に差し掛かっているんだけど、僕より上の年代の人たちからすれば、こういう感覚は解決済なんだろうな。別に芸人でなくても一般の会社員の人でも、50歳過ぎてからの職場での立場に対する気持ちって複雑な感覚なんだろうと思う。

 40代後半で会社を辞めるとか、自分の身の回りにいるテレビ関係者にそういう人を見かける。理由を聞いてみると、テレビ番組を制作したいけど、制作側ではなくて背広組になってしまうので、自分の生き方と違うから退職する。人生の残り時間を考えると、仕事を辞めてやりたいことを始めたり、子育てもひと段落しているから全く違うことを始める人もいる。

次のページ
考えてしまう「年相応」