元日本代表の扇原貴宏(神戸)も移籍の可能性がある。1991年10月5日生まれの31歳。5年間過ごした横浜FMから今季神戸に加入したが、開幕戦での一発退場の後、5月中旬以降はコンディション不良もあって途中出場2試合のみと居場所を失った。それでも実力は確か。高額年俸がネックだが、本人が望めば他クラブからのオファーは必ずある。まだまだ活躍できるはずだ。

 その他、ボランチでは佐野航大(岡山)、山田陸(甲府)、攻撃的なMFとしては山田康太(山形)、長谷川元希(甲府)のJ2組の若手MFのステップアップ移籍の有無に注目したいが、J1では鈴木唯人(清水)の去就に注目が集まる。2001年10月25日生まれの20歳。市立船橋高から清水に加入し、1年目から30試合(スタメン12試合)に出場すると、2年目には33試合(スタメン25試合)、そして今季は序盤戦でチームMVPと言える活躍を披露したが、6月以降は故障離脱に戦力補強もあって序列が低下した。だが、推進力のあるドリブル突破は非常に魅力的で、U-21代表でも存在感大。海外クラブからも興味を示される存在になっているが、チームがJ2降格となればJ1クラブ間でも争奪戦になるだろう。

 点取り屋のFWでは、今季ブレイクした町野修斗(湘南)が人気銘柄になる。1999年9月30日生まれの23歳。強さと高さと献身性、機動力を持ちながらポストプレーも非凡なものを持つ万能ストライカー。今季ここまで10得点を挙げ、E-1選手権でも印象的なプレーを披露して名を広めた。湘南としては不可欠な戦力だが、町野自身のプロ入り最初のクラブは横浜FMであり、そこから北九州を経て2021年に湘南に加入したばかり。J1上位クラブから魅力的なオファーが届くはずで、町野自身の決断が注目される。

 その他、J2で得点を重ねた大卒2年目の佐藤凌我(東京V)、大卒3年目の高橋利樹(本)のJ1個人昇格の可能性がありそうだが、彼ら以上に注目したい選手が、J3のスピードスター、横山歩夢 (松本山雅)だ。2003年3月4日生まれの19歳。高校まではほぼ無名の存在だったが、前田大然とも比較される圧倒的なスピードを武器に高卒2年目の今季、J3で24試合に出場して10得点をマーク。U-19代表にも招集され、まさに伸び盛り。本人の成長のためには試合に出ることを最優先にしてもらいたいが、多くのクラブが早く確保しておきたい逸材であることは間違いない。一気にJ1への飛び級もあり得る。

 あとはJ1最終節(11月5日)を経て確定した最終順位がどうなるか。毎年のことではあるが、J2に降格したクラブが“草刈り場”になる可能性があり、特に清水やG大阪には多くの実力者、他クラブにとって魅力的なタレントが多くいる。また、元スペイン代表のDFセルヒオ・ラモスのJリーグ入りが噂されているが、今季Jリーグでプレーした外国人たちの国内移籍もあるだろう。4年に1度のW杯を境に新たな挑戦を決断する選手たちも多く、その意味でも今冬は注目のストーブリーグになる。(文・三和直樹)

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