23年2月開校予定の「進学館ルータス」渋谷校(撮影/写真映像部・高橋奈緒)
23年2月開校予定の「進学館ルータス」渋谷校(撮影/写真映像部・高橋奈緒)

 こうして馬渕教室を大躍進させ、関西中学受験界を席巻した吉田氏の目は、関東進出へ向くことになる。21年8月、馬渕教室からベネッセグループの「アップ」へ電撃移籍したのだ。関東に多数の教育事業を展開しているアップの強みを活用し、首都圏の中学受験市場に参入したいという強い思いを抱いた。

 現在、吉田氏は執行役員兼首都圏中学受験「事業本部長」として、ベネッセグループとしては首都圏初となる中学受験塾「進学館ルータス」渋谷校の2月開校の準備を進めている。およそ3人に1人という合格基準を設けた入塾テストで精鋭を募り、麻布中や渋谷教育学園渋谷中といった最難関校を目指す受験指導を行う予定だ。

「中学受験を目指すご家庭に、これまでなかった選択肢を示す」と吉田氏が打ち出したのは、オールインワン教育だ。徹底した少人数制の集団指導をメーンに、同じ講師による個別指導のサポート、入試頻出の理科実験の教室をセットにした。併塾が多い首都圏の受験市場において、ここ1校に通うことで手厚い確かなサポートが得られるシステムをつくった。小学1~4年までの募集に対して既に反響は多く、説明会も増回、夏の体験学習ではクラスを増設するほどの盛況ぶり。大手塾から転塾予定の生徒もいるという。

「努力を重ねる12歳に、中学受験で成功体験を味わってほしい。関西でやってきた数々の施策を応用すれば、東京でも必ず実績が出せると思っています」

 そう熱弁する吉田氏の手腕は「進学館ルータス」でどのように発揮されるのか。連載2回目では、吉田氏が考える「塾の活用術」を紹介する。

(AERA dot.編集部 市川綾子)

※次回連載は<合格させる塾の「見分け方」と「活用術」>について紹介します。