阪神球団はさすがにマズイと感じたのか、10月11日の球団公式ツイッター上で「正しいマスクの着用」「声を張り上げての応援の禁止」等の応援ルール厳守を伝えた。しかし神宮球場でのCSファイナルでも、横浜ほどではないが声出し応援が聞こえる時もあった。

「阪神ファンばかりが悪者にされている。しかし今後のことを考えればNPB側の腰の重さも問題。『新型コロナウイルス対策連絡会議』で連携するJリーグは、エリアを設けて声出し応援が可能な試合を組んでいる。1日でも早く以前の状況に戻れるように動いている。しかしNPBにはそういった動きが見られない。阪神だけでなく野球ファンの多くがストレスを感じている」(阪神担当記者)

 9月12日、政府方針に従いNPBガイドラインの一部が改訂され、各球団は球場本拠地のある各都道府県の許可が出れば、「大声あり」(観客制限50%)「大声なし」(同100%)とエリアを区分けしての試合開催が可能となった。

「実施を認めない自治体はあるものの、Jリーグの例を見ればほとんどのチームで声出しエリア設置は可能。それが一切、行われないのはNPBと各球団に前向きな姿勢がないから。以前から鳴り物、声出し応援には賛否両論があった。これを機に球場での観戦スタイルが大幅に変わることも考えられる」(関東地区球場関係者)

「コロナ禍で観客動員が落ちたことと声出し応援禁止の関係性はゼロではない。声出し応援は日本野球の文化の1つになっている。各球団が趣向を凝らした選手別の応援歌には名曲も多い。オールスターゲームや侍ジャパンの人気が高いのは、他球団選手の応援歌を歌いたいファンが多いから。徐々にでも声を出せる環境を作ることは重要」(スポーツマーケティング会社関係者)

 スポーツ観戦の醍醐味は声を出して応援することで、見ている側も参加している気持ちになること。その楽しみが奪われていると考えるファンは多い。以前のような球場に戻るためにも、声出し応援は必要な要素とも言える。

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スポーツ界で戻りつつある“日常”