●ハロウィーンの会場ではゲームが
海外ドラマなどではよく見かけるが、「アップル・ボビング」もしくは「ダック・アップル」というハロウィーンのゲーム。アガサ・クリスティの小説ではこれで殺人事件が起こるというものもあったくらい、昔からポピュラーなものである。タライなどに水を張りそこに浮かべたリンゴを手を使わず口だけでピックアップするというもの。ゲームであり、恋占いとしても使われた。1度目のチャレンジで取れればその恋は成就、2度目ならもう少しだけ続く。3回目の時はそれは愛ではなく憎しみ、4回目となれば諦めなさい、というもの。これは、リンゴの収穫時期とハロウィーンの日が重なっていたという理由が大きかったようだ。ただ、日本のリンゴではイメージしにくく、みかんくらいの大きさしかない西欧のリンゴならでは、ということも付け加えておこう。
●お菓子かいたずらか、の意味は
ほかにも「スナップ・ドラゴン」(危険すぎる!)や「小麦粉切り」(アレルギーの子には不向き)といった伝統のゲームが行われてきた。中でも子どもたちが口々に「トリック・オア・トリート!」と言いながら、家々からお菓子をせしめて回るという習慣は、まさに某テーマパークで行われたことで日本にもしっかり知れ渡った。ちなみに英文では「Trick or Treat」(Treat me, or we’ll trick you)と書くが「もてなせ、そうしないと悪いことするぞ」(いたずらか、お菓子か)の省略文が「トリック・オア・トリート!」なのである。子どもたちにお菓子を渡すことは、魔よけにつながると考えられてのことである。と言ったことを考えると、ハロウィーンとは日本のお盆にも節分にも似ている行事ということになる。また、クリスマスのキラキラしたイメージともつながっているようだ。そういえば、某ショッピングモールで「Halloween」の綴りが「Hellween」になっていて、元があの世に関係する行事ならば「Hell(地獄)」もありかなぁと妙に感心させられもした(ただの誤植だとは思うが…)。ハロウィーンとはそんな世界各国のいろんなものが混じり合った不思議な行事なのである。
※長く続けてきました連載ですが、今回で最終回となります。これまで拙稿を公開してくださってきたAERA dot.に感謝するとともに、読者の皆さまにも深くお礼申し上げます。またどこかでお会いできることを楽しみにしております。(文・写真:『東京のパワースポットを歩く』・鈴子)