近年、10月中旬をすぎると渋谷の警備の様子がニュースで取り上げられるようになった。もちろん10月31日のハロウィーンを楽しむために集まる人たちに対する牽制の意味が大きい。何しろ「渋ハロ」には主催者がおらず、統制のかけようがない。渋谷で営業する店舗にとってありがたい面よりも警戒する部分の方が多いようで、大勢の人が集まるにもかかわらず商売にならずお店を閉めてしまうところもあると聞く。自然発生的に始まり終わるイベントだけに注意のしようがないというのが実情だ。
●仮装だけじゃないハロウィーンの楽しみ方
これほどまでに多くの人たちの関心を惹きつけるイベントだが、以前の稿でご紹介したようにそんなに長い歴史を持つものではない。渋ハロに至っては7、8年前からの盛り上がりにすぎないし、全国的なものとしても40数年前に細々と始まったものだ(もちろん米軍の兵隊さんたちの間では開催されてはいたようだが)。ということで、ハロウィーンの楽しみ方は仮装だけじゃないぞ、ということを今回はご紹介してみたいと思う。
●恐ろしいコスプレは何のため?
まずなぜ仮装をするのか。これはハロウィーンが、「先祖の霊が訪ねてくる日」という祭事が元となっているためだ。先祖の霊と共に悪霊や悪いもの(西欧的には吸血鬼や魔女など)もやってくると考えられていたため、自らもそれらのコスプレをすることにより狙われにくくしたものと考えられている。なのでこの日のコスチュームは、より恐ろしいものに扮するとよいと考えられている。
●元祖は蕪のおばけ
次にかぼちゃのおばけである。もともとはアイルランドの「ジャックの物語」という話が元になっている。悪魔を騙して魂を取られないように仕向けたジャックが、死後、天国にも地獄に行けず、暗闇の中を彷徨い続ける──という哀れな説話である。欧州ではくりぬいた蕪に地獄の火を入れてランタン代わりにしたと伝わるが、これがアメリカへ渡った際、カボチャへと変化したのである。アメリカのスーパーマーケットなど、10月が近くなると、どでかいカボチャが広い売り場面積を占めて売り出されている。くりぬくのが大変だろうと思われるサイズまで揃っていて見事だ。このかぼちゃのおばけの名は「ジャック・オー・ランタン」と言い、これも家にやってくる悪霊や悪いものを追い払う意味を持つ。