ライブにはウクライナから日本に避難している方々、在日ウクライナ人の方々が招待された(写真=全心連ウクライナ「心のケア」交流センター提供)
ライブにはウクライナから日本に避難している方々、在日ウクライナ人の方々が招待された(写真=全心連ウクライナ「心のケア」交流センター提供)

――日本にいるウクライナの方々が集まったコンサートの手ごたえは?

 普段のライブよりもメンバーが少なく、必要最小限の機材しかなかったのですが、日本いるウクライナの皆さん、避難している方々の前で歌うことができて、胸がいっぱいになりました。今回のライブの主役は私たちではなく、お客さんだったと思います。

――ウクライナの愛国歌として親しまれている「赤いカリーナは草原に」、2022年の3月に発表され、世界中で大きな反響を呼んだ「I AM NOT OK」も披露されました。

「赤いカリーナは草原に」は、100年前の戦争(第一次世界大戦)のとき、ウクライナの銃兵隊が歌った曲です。“私たちは決して負けない”という気持ちを表現していて、今回の戦争がはじまってから再び歌われる機会が増えました。戦地で戦っている人、家で大切な人の帰りを待っている人、避難している人の心を励ましている歌ですね。「I AM NOT OK」は、コンサート活動のために、しばらく家族と離れているときに作りました。“私は大丈夫ではない”という気持ち、家族と会えない寂しさ、心の痛みを表現した楽曲です。アメリカのニュース番組でも披露して、世界中の人達に届けることができました。

■現実に起きていることを伝えたい

――戦争がはじまって以降の音楽活動は?

 大変な状況が続いていますが、音楽を聴きたいという声をたくさんいただき、以前よりもコンサートの数は増えています。平均すると1カ月で20本程度でしょうか。飛行機は使えず、ロシアの爆撃もあるので、移動はとても大変ですが、音楽を通して、皆さんにパワーを伝えたいと思っています。ただ、国外の方、戦争を見ていない方に自分たちの痛みを伝えるのはとても難しい。歌うだけなら簡単ですが、本当の思いを皆さんの心に届けるのは大変なことだと実感しました。

――日本人に伝えたいことは?

 私たちが望んでいることは、日本の皆さんにも理解してもらえると思います。その理由は、日本にはとても豊かな文化があり、それを守り続けているから。KAZKAの代表曲「プラーカラ(泣いた)」もそうですが、私たちがウクライナ語で歌っているのは、自分たちの国の文化や言語を伝えたいという思いがあるからです。ロシアはこの戦争で、それを奪おうとしている。21世紀にこんなことが起きるなんて誰も想像していませんでしたが、これは現実です。私たちはただ、ウクライナの文化を守りたいのです。今回の来日もそうですが、日本のみなさんのサポートは素晴らしい。心から感謝しています。

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ウクライナの人々には心のケアが必要