■事務所に不満を持っている後輩芸人に喝!
さきほども伝えたように、よほどのことがない限り、ボクは松竹を離れるつもりはない。
ただ、松竹で売れてきている芸人や売れそうな予感のある芸人の中で、もし、事務所に不満を持っている芸人がいるのなら「辞めろ」とは思っている。ボクのポジションを脅かす芸人は、ボクにとっては必要ないからね。
だって、自分が松竹の何番手にいるかによって、タレントとしての扱いや優先順位みたいなものは変わってくる。そうなったら、ボクの仕事にも絶対影響してくるからね。ボクは、そんなのは嫌だから。
こういう話をしていると、「クロちゃんとカブっている芸人なんていないから別に大丈夫でしょ」って指摘されたりもするんだけど、そんなのは正直わからない。この芸能界、安泰なんてないわけだから「殺られる」可能性なんて、いくらでもあるからね。
ただ、誤解しないでほしいのは、「辞めろ」って思うのはあくまで後輩芸人に限る。先輩芸人で売れていくっていうのはまったく問題なし。だから、なすなかにしさんが売れてきているっていうのは、ボクは純粋にすごくうれしい。
ただ、ヒコロヒーは後輩だからちょっと複雑。先輩として、売れてきたっていうのは喜んであげるべきなんだろうけど、ボクを脅かす存在になるつもりなら、ちょっと困るね。
しかし、こんなことをいうと怒られそうだけど、ヒコロヒーがこんなに売れるなんて、ボクはまったく思わなかった。
2年くらい前だっただろうか。まだヒコロヒーがここまで人気が出る前に、ヒコロヒーのYouTubeで「先輩芸人からお金を借りる」みたいな企画があったんだ。ヒコロヒーが先輩芸人に直接電話して、交渉して、いくらお金を借りられるか、みたいな。それで、ボクにも2度ほど電話がかかってきたんだけど、ボクは、その時、ビタ一文貸さなかったんだよね。
だって、ボクは、ヒコロヒーが売れるなんて思ってなかったわけだし、特別仲良いってわけでもないし、そんな海のものとも山のものとも分からない後輩に、お金なんて貸せないでしょ。R-1とかで優勝したとかってわけでもないんだし。
でも、これはボクの読みが甘かった。あの時、少額であっても貸しておけば、今頃、美談のようになって、トーク番組とかでネタにしてくれたかもしれないのに。結局、先日の「ダウンタウンDX」では、YouTubeでのボクとのやりとりを、ボクのケチエピソードとして紹介していた。これは、しくったなって思ったよ。
ただ、「踊る!さんま御殿!!」では、ヒコロヒーは良い仕事していたね。「これからの松竹は、ヒコロヒーとクロちゃんの"二枚看板"でいくって、松竹の社長にいわれた」っていうエピソードを紹介していたんだけど、あれは、ほんとうにありがたかった。
すごくウケていたみたいだし、「二枚看板」っていうキャッチーなワードもあいまって、周囲にけっこう広まったんだよね。松竹は、ヒコロヒーとクロちゃん推しなんだって。あれは、間違いなく、ボクの格が上がった瞬間だったよ。
後輩芸人が売れていくっていうのは嫌だけど、ヒコロヒーに関しては、「二枚看板」っていう対象でもあるわけだから、このまま松竹にいてくれたほうが、ボクにとってはプラスになるかもね。
ヒコロヒー、これからもよろしくだしん!
(構成/AERA dot.編集部・岡本直也)