骨粗鬆症性椎体骨折データ
骨粗鬆症性椎体骨折データ

「骨の強度を保つには筋肉の維持が重要です。運動をすることで筋肉の収縮の刺激が骨に伝えられ、骨に伝わる力を感知するタンパク質が働くことで骨の減少が抑えられ、微量の電流が骨に流れることで骨の強さが増します。ところが、骨は刺激を与えないとどんどん弱くなっていってしまう。骨折予防のためにも、できるだけウォーキングや筋力トレーニングなどの骨に刺激が加わる運動を取り入れることが大切です」(酒井医師)

 二次骨折予防における最大の課題は、治療への意欲が高まりにくいという点だ。骨粗鬆症は痛みなどもとくにないため、治療の意義を感じにくく、たとえ始めても途中でやめてしまうケースも多い。患者自身がいかに納得して治療を継続できるかが課題となる。日本の骨粗鬆症治療の実施率は全体の約2割というデータもあるという。聖隷佐倉市民病院副院長の小谷俊明医師はこう話す。

「二次骨折予防には、骨粗鬆症治療薬の継続と生活指導が重要ですが、大きな病院では対応しきれないのも現状です。地域の内科または整形外科クリニックとの役割分担、地域連携がやはり重要になります」

 聖隷佐倉市民病院では、退院後の治療は患者のかかりつけの内科または整形外科のクリニックで継続するようにし、半年に一度は大きな病院で骨密度や骨代謝マーカーなどの検査をおこない、フォローアップしている。それによって骨粗鬆症治療の継続を目指す仕組みだ。こうした骨粗鬆症の治療による骨折予防を地域と連携して機能させている病院が近年増加している。

■治療継続に向け多職種連携

 骨折後の骨粗鬆症患者の病状管理、治療継続に向け、医師を中心に看護師や薬剤師、理学療法士、管理栄養士、ソーシャルワーカーなどの多職種の医療スタッフが連携する「骨粗鬆症リエゾンサービス」を導入する病院もある。「リエゾン」とは「連携」という意味だ。

「リエゾンサービスを導入している病院は骨粗鬆症治療や二次骨折予防に積極的だと思います。当院でも2014年に骨粗鬆症リエゾンチームを結成しました。骨粗鬆症治療にかかわるスタッフは骨粗鬆症の専門知識を学んだうえで、それぞれの立場から治療の必要性などを患者さんに説明します。実際、患者さんに接する時間は医師よりも他の医療スタッフのほうが長い。医師には話しづらいこともスタッフには気軽に話せるというメリットもあります。治療の大切さを認識できた患者さんは治療意欲も高くなります」(小谷医師)

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