※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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骨粗鬆症が進むと背骨などを骨折しやすくなるが、一度骨折した後も再び骨折しないよう予防が肝心だ。骨粗鬆症は自覚症状が乏しく、いかに治療を継続させるかが課題だ。多職種連携による治療継続への取り組みが進みつつある。

【データ】椎体骨折主な原因は?症状は?

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 骨粗鬆症の進行によって60代後半以降、日常生活のなかでいつのまにか手首や背骨、足の付け根などを骨折してしまう人が増えるという。なかでも多いのが背骨の前方にある円柱状の椎体の骨折だ。「骨粗鬆症性椎体骨折」といわれる。骨粗鬆症によって骨が脆弱化しているため、転倒などのわずかな外力で骨が押し潰されるように骨折し、変形する。なかには受傷の経緯が不明な人もいる。骨折時の痛みの程度も個人差があり、じっとしていると痛みにくいため、医療機関の受診や治療が遅れてしまうことも多い。

 さらに、骨粗鬆症性椎体骨折は、骨折を治療しても原因となる骨粗鬆症自体を治療しないと、別の骨も折れてしまうというリスクもある。二次骨折予防が重要だ。

■入院中にリハビリ 退院後は筋トレを

 椎体骨折の治療では、骨折部位にコルセットをはめて安静にする保存療法が基本だが、退院後の生活や二次骨折予防に向け、リハビリもできるだけ早くスタートさせる。国立長寿医療研究センター整形外科部長の酒井義人医師はこう話す。

「骨折後の最初の1~2週間は安静にすることが必要です。骨が折れた状態で動いてしまうと、椎体が変形して潰れてしまい、いわゆる腰曲がりになってしまいやすい。ただ、安静期間が長くなると、からだが弱ってしまい治療前の生活に戻れなくなるリスクも高まります。そのため、入院中から少しずつリハビリを開始します」

 痛み自体は安静にして1~2週間ぐらいで落ち着いてくる場合が多いという。痛みがとれてきたら、体力や筋力が衰えないように、ベッドに寝ながら、動かせる部位から動かし、少しずつリハビリを開始する。

 退院後も引き続き、運動が重要だという。

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骨は刺激を与えないとどんどん弱くなる