岸田政権の支持率低下が止まらない。7日、読売新聞が発表した世論調査では岸田内閣の支持率は36%と過去最低となり、初の30%台に落ち込んだ。JNNの最新の世論調査でも、内閣支持率は39.6%と3カ月連続で過去最低を更新した。読売新聞は、支持率低下の背景として「女性」「若年層」「自民党支持層」からの支持が下がっていることを挙げる。女性や若者の「岸田離れ」はなぜ起こっているのか。生活者の視点から政治を取材してきた、東京新聞の望月衣塑子記者に聞いた。
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「支持率は、まだまだ下がるでしょうね」
開口一番、望月氏はこう語った。
前出の読売新聞の世論調査によると、女性の内閣支持率は前回の10月調査(支持率=47%)から11ポイントも下がって36%となり、男性より支持率の高い傾向にあった女性の支持率は男性と並んだという。
これまでの安倍晋三元首相、菅義偉前首相と比べると、物腰も穏やかでソフトな印象を与える岸田文雄首相。自身がアピールする「聞く力」は、一般的に女性が求める政治姿勢とも合致しているように思えるが、今回の世論調査で“見限られた”のはなぜか。
「生活が苦しくなってきている実感が支持率に反映されているはずです。特に子育て世代の女性が『このままでは先が見えない』と大きな不安を感じているのだと思います」(望月氏)
原油をはじめとするエネルギー価格の高騰を受けて、10月28日、政府は総合経済対策を発表。1世帯当たりの電気、ガス、ガソリン代などの負担軽減をはかるため、来年前半にかけて、一般的な家庭で総額4万5000円程度を支援するとした。だが望月氏はこう指摘する。
「各家庭に4万5000円を直接支援するといいながら、消費税を15%に増税しようとする動きもあると聞きます。総合経済対策には39兆円かかり、その他の防衛費増額の支出も考えると、消費税10%では日本の財政がもたないという話が政府内から出てきているからです。そうした政策の“ちぐはぐさ”が、女性の不安や不満の原因になっているのではないでしょうか」