読売新聞によると、前出の世論調査では18~39歳の「若年層」の支持率の落ち込みも顕著になったという。内閣支持率は、前回調査の50%から36%に14ポイントも下落した。その背景を望月氏はこう推測する。

「若い世代からすれば、岸田首相のリーダーシップに頼りなさを感じるのでしょう。例えば、大学生が就職先を選ぶ際にも、今は大企業に入ればなんとかなるという感覚ではない。なぜなら、賃金は上がらず、雇用は安定せず、学生の目には日本企業が全体としてダメに映ってしまっている。だから外資系企業に人材が流れています。将来に対して暗い見通ししか持てない中で、岸田首相が構造改革を含め、何かを大きく変えてくれるという期待感が乏しいのだと思います」

 日本は長らくデフレが続き、物価が上昇しない中で、企業は薄利多売で極限まで利益を削り経営を維持してきたので、労働者の賃金も上がらないという悪循環に陥っている。

「日本の労働者の所得水準は、他の先進国の平均値より低くなってしまっています。アメリカの利上げの影響による円安、物価上昇で日本も金利は上げた方がいいとは思っていても、今の所得水準では政府は決断できない。日銀含めて『これから日本は大丈夫なのか』という不安は若い世代ほど強くなるのは当然だと思います」(望月氏)

 また、旧統一教会絡みでいえば、若い世代が切実なのは「宗教2世」問題だろう。支持率下落が報じられた直後、岸田首相は多額の寄付をした信者や信者の親の元で苦しむ被害者を救済する新法案を、今国会に提出することを目指すと表明した。

「岸田首相はこの新法案で起死回生を図ろうと躍起ですが、検討している救済法の中身をみると、創価学会を支持母体とする公明党への配慮が透けて見えます。たとえば、マインドコントロールの定義についても、自民、公明は『法律上の定義は困難』と消極的です。寄付の上限規制も、公明党を中心に『寄付文化が萎縮する』と慎重です。宗教団体は寄付文化によって支えられている側面があり、創価学会としては上限規制という発想自体が受け入れ難いのだと思います。それゆえ、もし今国会で法案提出できたとしても中途半端な救済法案になる可能性があります。2世を救済すると言いながら、創価学会の顔色をうかがう、という姑息(こそく)な姿勢には若者も気づいているはずです」(望月氏)

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岸田首相は「熟慮なき即断」