さらに西田さんは、こうも言う。

「これまで赤字続きのツイッターを買っても儲けにならないのは明白です。今後、高いお金を出して買ってもらえる会社にもならないでしょう。では、なぜマスク氏はツイッターを買収したのか? アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏が新聞社、ワシントン・ポストを買った理由と同じだと思います。つまり、『これは必要なものだから』という理由で買収した可能性が高い。マスク氏はツイッターのヘビーユーザーなので、ツイッターがなくなったら困る、だから買った――単純にそれだけのような気がします」

SNSで稼ぐたった二つの方法

 米経済誌「フォーブス」が発表した今年の「世界長者番付」によると、マスク氏の資産は2190億ドル=27兆円(発表時)で、世界一位だ。

 それほどの大富豪がツイッターのCEOとなって何をやろうとしているのか?

「今、一番懸念しているのは、マスク氏が何をやろうとしているのかが見えないことです。最近、いくつかの大企業がツイッターへの広告出稿を一時停止したのは、よくわからないプラットフォームに広告を出すことのリスクを回避した、ということでしょう」

 マスク氏は今年5月、ツイッターがトランプ前大統領のアカウントを「永久凍結」したことに対して、「道徳的に間違いで、愚かなことだ」として、永久凍結を撤回する意向を示している。

「これから半年後くらいの間に何らかの方向性が出れば、広告主の不安が払しょくされて戻ってくる可能性はあると思います。一方、ユーザーが減る傾向が強まれば広告は入らなくなる。それを想定して有料化を検討しているのかもしれません」

 マスク氏は電気自動車と宇宙ロケットの世界でこれまでに誰も見たことのない地平を切り開いてきた。しかし、「SNSの事業において、そういうことができるのか、というと、かなり難しい」。

 なぜか。

 西田さんによれば、SNSで収益を上げるには二つしか方法はないという。

「広告収入に依存してユーザーをたくさん集めるか、ユーザーから直接お金をとるか。でも、後者で大成功している例はネットフリックスくらいしかありません。つまり、SNSって、お金を払ってまでやりたいと、みんなが思うかどうか。現状、それはなかなか難しいと思います」

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