「微博」で拡散している、学生たちの四つん這い写真
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 中国の大学で始まった学生による謎の「四つん這い」行動が話題になっている。

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 香港メディア「星島環球」(11月14日付)によると、発端となったのは北京伝媒大学の匿名コニュニティに8日に投稿されたメッセージ。「キャンパスで這っている人を見たら怖がるかどうか聞いてみたい、運動場で一緒に這いつくばりたい学生はいないか」とある学生が尋ねたところ、多くの学生が応じた。動画がSNSにアップされると、名門の清華大学や中国人民大学、中財大学を始め全土の大学や高校にも波及し、全国的な流行になっているという。

 中国メディアなどでは「グロテスク芸術」「発狂文学」「人間ムカデ」などの見出しで、学生たちの行動を報じているが、原因として指摘されているのはゼロコロナ政策を続ける中国政府に対する不満だ。香港や台湾のメディアでは、四つん這い行動をゼロコロナ政策に対する静かな抗議だと指摘する報道は多い。

「中国の大学生はほぼ全員が寮生活を送っていますが、11月に入って各地でコロナ対策がさらに強化されたようです。微博(中国版Twitter)には、『2~3日おきだった校内PCR検査が1日1回になった』『校門が鎖で完全封鎖され、フードデリバリーや宅配便の受け取りもできなくなり、まるで刑務所にいるようだ』という書き込みもありました。かといって、ゼロコロナ政策への不満はSNSに投稿してもすぐに削除されます。中国の大学生は不満のはけ口がありません。宿舎で夜にみんなで大合唱する様子も投稿されていますが、四つん這いはインパクトも強く、さらに広がっていくでしょう。大学では行動を起こした学生に警告を発して注意はしているようですが、中央政府は現時点では行動を規制しておらず、SNSでも削除対象になっていません」(中国事情に詳しいライターの広瀬大介氏)

 中国政府が13日に発表した新型コロナウイルス感染者は1万5500人以上。4月以来の高水準となっており、各地でロックダウンや行動制限強化が再開されている。大学生のこうした行動について、微博ではさまざまな意見が飛び交っている。

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「天安門事件」再来の懸念も