「四つん這い」行動は中国全土の大学に広がっているという(画像は「微博」から)

<大学は封鎖され、移動時もおしゃべりできない。狂わないでいられるわけがない>
<官僚たちは、学生の自発的な行動を恐れているだろう>
<政権と国家の安全に危害を加える行為だ。四つん這いを禁止すべき>
<ストレス発散のためにキャンパス内で学生たちできることは少ない。なぜ叱る必要があるのだろう?>
<夜に見ると不気味。邪教の謎の儀式のようだ>
<こうした表現行為が許されている間は、まだある程度の自由がこの国にはあるってことだ>
<刑務所に入ると狂気に陥るだろ。それと一緒だ>

■カルトの儀式みたい

 一方、シンガポールの中国語メディア「端伝媒」(11月15日付)は、中国西南部の大学で四つん這い行動をした女子学生が投稿した感想を紹介。人工芝に膝と両手をついて這い始めると、彼女の後ろに3人の学生が続いたという。集団で歩調に合わせながら、もぞもぞと歩き始めると、恥ずかしいという気持ちが徐々に消え、何とも言えない喜びに変わっていったとか。参加者全員が「楽しかった」と口をそろえ、「ちょっとカルトの儀式みたい」と思ったという。なぜやるのか、結果はどうなるのか、そんなことは考えず、ただただその過程を楽しむのが目的だと記事は締めくくられていた。

 ラジオフリーアジア(11月11日配信)によれば、華東師範大学では四つん這いを察知した学校側が阻止しようと警備員が校庭を封鎖。さらに北京郵電大学では、校内掲示板で四つん這いを呼びかけた学生たちが警察に呼び出される事態になったと言う。地方レベルでは徐々に規制も始まっているようだ。

 ジャーナリストの周来友氏は言う。

「中国の大学生はこの3年間、ほとんどまともなキャンパスライフを送れていません。寮の大部屋と教室を行き来するだけの生活で、いわば軟禁状態に置かれている。四つん這い行動はそんな学生の静かな反乱といえるでしょう。中国政府は現時点でこの行動を規制していませんが、それが本当に政権への抗議なのか判断しきれていないのでしょう。どう扱うか、政府内でも意見が割れているのでは。ただ、長期化したり全国的な流行になってくると、政府にとっては厄介です。天安門事件も、きっかけとなったのは大学生による胡耀邦元首相の静かな追悼集会です。学生パワーがやがて大きなうねりとなって反政府運動につながる可能性もあります。かといって、四つん這いを強権的に規制すれば、それはそれで民衆の不満はさらに高まってしまう。中国政府としては、まずは様子見といったところでしょうか」

 沈黙の抗議はいつまで続くのか。(山重慶子)

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