日本では、連日のように報じられている「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」にかかわるニュース。しかし、旧統一教会の発祥地ともいえる韓国ではそれほどの騒ぎはない。むしろ「日本ではなぜ、今ごろ騒いでいるのか」という反応だ。現地の様子を報告する。
韓国人男性と結婚した日本人女性(34)は、5年前、ソウルで新婚生活を始めた。するとアパートの管理人から、「統一教会の信者か」と尋ねられた。最初は旧統一教会がなんなのかよくわからず、夫に尋ねると、韓国で有名なカルト宗教だと聞かされた。
韓国内の日韓カップルコミュニティーで知り合った日本人女性たちも、同じような経験があるという。筆者も日本人女性と交際していたことがある。そのころは、会社の同僚や取引先の人、飲食店の従業員から、旧統一教会なのかとよく聞かれたものだ。
韓国の統計(ナムウィキ)によると、旧統一教会の韓国での信者は約30万人。日本の半分ほどだ。「合同結婚式」で結婚して移住した人が多い。数千人ともいわれる日本人信者が韓国で暮らしていることを韓国人は知っているのだ。知人の韓国人男性(40)はこう話す。
「日本のイメージを悪くしていると思う。経済的にも恵まれている日本でなぜカルト宗教にハマるのか韓国人は理解できない」
旧統一教会と政治家との癒着は、韓国ではよく知られていることだ。旧統一教会が政治家に近づいたきっかけは、創始者である文鮮明(ムン・ソンミョン)氏が米国で刑務所に入ったときから始まったようだ。
1981年10月、ニューヨーク検察庁と米国税庁は、米国の旧統一教会の献金などを調べ、検察は所得16万2千ドルを故意に申告しなかった脱税の理由で文氏を起訴。82年7月、ニューヨーク連邦地方裁判所は懲役1年6カ月と罰金2万5千ドルを言い渡した。文氏は、連邦最高裁判所まで上告したが却下され、84年7月、コネティカット州ダンバリー連邦刑務所に収監された。