米電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が米ツイッターを買収し、全世界の従業員7500人のうち、約3700人を解雇した。マスク氏はどこを目指しているのか。「キュレーションチーム」の解雇。ここに、ツイッターの今後を予測させる大きなヒントがあるようだ。
【裁判資料】イーロン・マスク氏の考え方が書かれたメールのやりとりはこちら
ツイッターの解雇の報道が出た後、日本のツイッターでは、「おすすめ」の更新が一時、止まった。
おすすめは、その時点で話題になっているようなニュースが選ばれ、メディアの記事が載ることが多かった。
その後、更新されたが、新聞やテレビなど大手メディアの記事は載っていない。
これは、どういう変化が起きていると言えるのだろうか。
ウェブコンサルティング会社「JADE」創業者の長山一石さんは、
「(ツイッターは)ニュースメディアとしての役割を放棄するのではないかと見ています」
と語る。
ツイッターには、記事やツイートなどを載せるにあたっての方針があり、ホームページでも公開されている。
それによると、トレンドになっている言葉や会話について、「事実に基づいた背景情報を提供する」「健全な会話が促進されることを目指し」「違反がないか調査」「監視と背景情報の追加を手作業で行っている」などと書かれている。
トレンドに選ばれる記事などは、基本はアルゴリズムによって決まるが、正確性や公平性などを保つための作業や、取捨選択などを人の手でやっていたということだ。その作業をしていたのが「キュレーションチーム」だった。
しかし、マスク氏による大量解雇で、このチームは解散した。
長山さんはこの解雇に、「そうしたメディアとしての機能を弱める意図がうかがえる」と指摘する。
CNNなどの報道によると、解雇されたのはビジネスにかかわるマーケティング・広報チーム、人権問題を扱うチーム、そしてキュレーションチーム。
他方、ツイッターの基盤となるタイムラインにかかわる人材は、少なくとも大量解雇という事態にはなっていないと言われている。