巨人に加入した松田宣浩
巨人に加入した松田宣浩
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 ベテランの去就を巡り、明暗が分かれる形となっている。

【写真】巨人に戻ってくる選手がこの人

 ソフトバンクを今季限りで退団した39歳の松田宣浩は、巨人への入団が決まった。今月15日に都内のホテルで行われた会見では、「とにかく試合に出てチームに貢献したい。今年は1本もホームランを打つことができなかったので、東京ドームで1本、1日も早く打ちたい。その中で、無意識に『熱男』が出たらいいんじゃないかと思います」と宣言。会見に同席した原監督は「みんなに愛され、野球に対するガッツを非常にまぶしく感じていました。日本シリーズでも数度、痛い目に遭わされました。松田選手ワールドみたいなものがしっかりある。誰も立ち入ることのできない聖域。そういう選手はいそうでいない。敵陣にいながら眩しく見えていた」と評した。

 松田は会見の中で本職の三塁だけでなく、今季主にソフトバンクで守った一塁、さらに外野に挑戦する意欲を明かした。出場機会を増やすためにはなりふり構わない。実績十分のベテランがこういった貪欲な姿勢を示すことで、チームにもたらすプラスアルファは大きい。

 ソフトバンクを取材するスポーツ紙記者は、「松田がいるだけでチームの雰囲気が引き締まる。常に声を張り上げ、ナインを鼓舞してベンチを活気づける選手はなかなかいない。今季はプロ17年目で初のノーアーチに終わったが、大きな故障をしたわけではないないし。体はまだまだ動く。代打での起用が多くなると思いますが、あれだけ振れる打者が控えているのは相手からしたら不気味でしょう」と期待を寄せる。

 巨人が松田を戦力として獲得したことは事実だ。一方で、チームの雰囲気を良い方向に変えられるキャラクターにも期待していることは間違いない。ベテランになり球団の構想から外れた選手は周囲に与える「影響力」も、他球団に評価される上で重要な要素となる。

 松田と対照的に、去就が決まっていないのが巨人を退団した山口俊、中日を退団した平田良介だ。山口は35歳、平田も山口と同学年で1988年の早生まれの34歳。共にNPBでの現役続行を望んでいるが、朗報は届いていない。

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