そして2度目が2010年南アフリカ大会の準決勝で、息の詰まる攻防戦の末、スペインがCKからプジョルの豪快なヘッド弾によって1対0で勝利した。スペインにとっては、黄金期の幕開けを告げた2008年のEURO決勝でもフェルナンド・トーレスのゴールでドイツに1対0で勝利して優勝。大舞台での対戦ではスペインの方がドイツに対して良いイメージを持っている。

 さらに直近の2試合でもスペインが1勝1分とリードしている。第2回の欧州ネーションズリーグで同グループとなり、2020年9月のドイツホームでは1対1の同点も、同年11月のスペインホームでは前半17分のモラタのゴールを皮切りにフェラン・トーレスが3得点を決めるなど、スペインが6対0と歴史的な大勝を収めた。データ的にもシュート数23対2、ボール支配率70%対30%と圧倒した。

 スペインはその試合に出場した16選手中9人が今大会でもメンバー入りしており、指揮を執るのも現在のルイス・エンリケ監督である。一方のドイツからすると、当時のレーヴ監督から現在のフリック監督へと指揮官が代わっている。ドイツとしては両チームの代表選手が多く在籍する「バイエルンvsバルセロナ」において、今季の欧州CLのグループリーグでバイエルンが2試合とも完勝(2対0、3対0)していることを心の拠り所にしたいが、果たしてどうか。

 状態的にもスペインが上だ。第1戦のコスタリカ戦で7対0という圧勝劇。ボール支配率74%、シュート数17対0という完璧な試合だった。「強み」は世界随一のパスワークと誰が出ても変わらない選手層の厚さ。すべてのチームにおいて中3日の過密日程の中での「回復」が一つの鍵になるが、コスタリカ戦で後半10分台にベンチに下がったブスケツ、ペドリ、フェラン・トーレスの3人と後半途中から出場したモラタをはじめ、多くの選手が体力的な余力を多く残しており、これまで重用されてきたサラビアと“切り札”アンス・ファティは未出場。フル出場したガビには18歳の若さゆえの回復力がある。

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ドイツに“勝ち目”はあるのか?