世田谷代田駅近くの公園のベンチ。このベンチで湊斗は紬に、「パンダ スペース 落ちる」と検索するように言う。写真は墨田区の高校1年生(撮影/上田耕司)
世田谷代田駅近くの公園のベンチ。このベンチで湊斗は紬に、「パンダ スペース 落ちる」と検索するように言う。写真は墨田区の高校1年生(撮影/上田耕司)

 このベンチに行くと、女性2人組がまさに“缶のコンポタ”を持って座っていた。2人は墨田区内の高校1年生だという。

「本物のコンポタは、フタ式なんで、ちょっと形が違うんですけど、似たようなものを探して買ってきたんです」

 と1人が笑って見せてくれた。

「Snow Manが好きで、ドラマを見て、毎回キュンキュンしています。先の展開がわからないのもドキドキしますね」

 ベンチの近くには、第1話で想がフェンスをつかみながら泣き崩れるシーンの撮影場所がある。

「私もフェンスにつかまりながら、しゃがみ込みました。同じ格好をすることで、雰囲気を追体験したかったんです」(前出の高校1年生)

 ベンチがある公園に続く「代田富士見橋」も定番の人気スポットとなっている。

世田谷代田駅近くの代田富士見橋。写真は、都内大学の保育学科に通う女子大生3人組(撮影/上田耕司)
世田谷代田駅近くの代田富士見橋。写真は、都内大学の保育学科に通う女子大生3人組(撮影/上田耕司)

 想は3年前、付き合っていた紬と理由を告げずに別れている。橋の上で、想は耳がだんだん聞こえなくなったことを、初めて手話で紬に告白する。多くの人が涙したであろうシーンだ。

 その橋の上で撮影していた3人組の女性たちは都内の大学1年生。口々にこう話した。

「放送のあった翌日の金曜日に大学へ行くと、『泣いた?』と言うのがしょっぱなのあいさつ。見ていないと言ったら、のけ者ですよ(笑)」

 3人組の1人は、「『silent』が楽しみで生きています」と絶賛する。

「最近のドラマとはちょっと違う。ベタな恋愛ドラマに飽きちゃっているので、『silent』は新鮮です。音のない静かな世界で、手話で会話するからこそ、伝えたい感情がリアルに映像に出てくる感じがいいんですよね」

 もう一組、豊島区から来ていた幼なじみという女性2人組にも話を聞いた。そのうちの25歳の女性は、紬になりきって撮影したと話す。

「私はSnow Manの目黒君が好きなので、橋の上でも、紬目線で、スマホを目黒君がいる方向に向けて撮りました」

 前述のように、「TVer」の再生数は第4話が歴代最高記録を更新した。その第4話で、紬と湊斗が広場で、通りすがりの犬の散歩の飼い主に「(犬を)ワシャワシャしていいですか」と話しかけ、犬をなでる場面がある。ちょうど、夏帆が演じる奈々と想もその近くを歩いていて、湊斗と想の目が合うというシーンだ。

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